ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

新宿古書展

 神田駿河台下の東京古書会館で新宿古書展が今日から開かれているという話を聞いたので、雨の中でかけてみた。こうした古本市の初日に出かけたのは多分これが初めて。古書会館の地下にはほぼ私の様な初老のおじさんばっかり。女性の姿が極端に少ないのが妙な感じがする。女性がいると結構若い方だったりする。
 初老のおじさんはかなり図々しい。自分が本を見ながら歩いていると他のやつがその進路を開けるのが当たり前だと思っているのではないかと思う様な人ばかり。肘で人を突いても屁でもない。ここでも思うのだけれども、人に声をかけるということができない。「失礼」の一言も言うことができない。日本人はいつからこんなことになってしまったのだろうか。ほとんど人の声が聞こえない。ぶつかったりぐいっと押しのけたりしているのに。

  • 新版「日本人花嫁の戦後」韓国・慶州ナザレ園からの証言 伊藤孝司 LYU工房1996
  • 「海外移民ネットワークの研究 ペルー移住者の意識と生活」赤木妙子 芙蓉書房出版 2000 この著者は先日入手せし「ハワイ移民佐藤常蔵書翰」の共著者成り。
  • 「オーストラリア史」E.スコット著 山川敏夫譯 陸軍の友社東華堂 1943年7月 イギリスからオーストラリアに移住した元新聞記者が原作者で、原著は「A Short History of Australia」 6th edi. 1937 Oxford Uni. Pressだという。紙はいまにもぱりぱりと壊れてしまいそうな、そして活字もいかにも古いものである。戦争中になぜこんなオーストラリア史を出版したのかと不思議に思いながら手にしたのだけれども、序に今や戦局はオーストラリア、ニュージーランドが残るのみであり、「今やそれをよく知ることは我が国が現時の戦争に缺く可からざる用意でなければならない」ということだと記してある。ぺらぺらな箱に入っているのだけれども、当時一体こうした本を誰が読んだのだろうか。
  • 昭和天皇独白録・寺崎英成御用掛日記」文藝春秋 1991 いうまでもない本だけれど、実は逡巡していて今まで入手していない。先日何を読んでいる時に思ったのかが想い出せないのだが、やっぱり読んでみなくちゃと思った。
  • 「語りつぐ戦後史3」鶴見俊輔編集・解説 思想の科学社 1970 三冊シリーズの一冊。鶴見俊輔の対談集。この巻には岡本太郎いいだもも堀田善衛開高健大江健三郎小松左京高橋和巳金達寿、なだいなだ、寺山修司小田実。箱入り。
  • 「日本の外国人移民」駒井洋 明石書店 1999 やっぱり駒井先生の本はちゃんと読んでおく必要がある。
  • 「決定版快楽亭ブラック小島貞二 恒文社 1997 スコットランド生まれで豪州アデレイドに移民した父の子としてブラックは1858年に生まれた。父はふらりと寄った日本で新聞を出す。小島によるとこの父親ブラックには「ヤング・ジャパン」という著作があり、平凡社東洋文庫から出ているのだという。これは「Young Japan」として英国で出版されたものの和訳である。それもまた興味深い。
  • 「占領秘録・上下」住本利男 毎日新聞 1952 中公文庫から出ている「占領秘録」の元本。
  • 「戦中手記」鮎川信夫 思潮社 1970 最後に鮎川信夫論を吉本隆明が書いている。

前回東京古書会館に来た時の帰り道で靴の平和堂のビルの一階の内装を壊していることを書いた。あそこが何になったのかと思って重い本を引きずる様にブル下げながら通りかかると、なんと紳士服のコ○カになっていたのでがっかりしてしまった。いくらなんでもなぁ。