ほぼ足りてまだ欲 その先

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習志野 2003.04統一地方選挙

 山岡俊介が主宰する「ストレイ・ドッグ」が追いかけ続けてきたといわれている2003年4月の習志野市市長選、市議選の開票作業中の不正疑惑を今朝のテレビ朝日スーパーモーニング」が取り上げた。オンブズマンが6台のビデオカメラを開票会場に持ち込んで撮影を続けたという映像を見せていた。全くのアナログ作業であるわが国の投票、開票作業であるから有権者がアルミのついたての陰で密かに書き込んだ票、そのものが実際の力を持っている。だからそのひとつひとつの力を管理するのがこの開票という作業である。しかし、その厳格に実施されるべき開票の管理が全く杜撰であることがこのビデオで暴露されてしまった。
 習志野市当局は東京高裁が棄却をしていることから強気の対応で、テレビ朝日の取材依頼に対しても取材拒否。もちろんこうした弾劾番組に出てこようというほどの気概がこうした役人にあるとは思えない。そんなところに出て、自分の立場を守って頑張った対応をすると、先日の北海道滝川市教育委員会のような結果を招きかねない。彼らの発言はいち保護者などどうにでもなると思っていたとしか思えないものだったといっても良い。習志野市当局はこれからどの様に発言を変えていくだろうかという観点で観測していくのも面白いかも知れない。
 山岡俊介によれば「このビデオで疑惑を確信した同選挙の立候補者7名は、本件選挙無効を求めて習志野市選挙委員 に異議申立を行った。だが棄却。審査請求 も棄却されたため、東京高等裁判所に提訴するも2003年12月18日にこれも棄却。今度は2005年6月に千葉地検に疑惑の習志野市職員5名を窃盗罪、投票偽造・増減罪で告発。これは正式受理されたものの、今年2月不起訴に。しかし、これを不服として現在、検察審査会に審査申し立て中」だということである。しかし、これまでほとんどこの話は聞いたことがない。
 このビデオには電卓使用、携帯電話で会話している箇所も登場する。ウェストポーチをつけている職員にもう一人が近寄ってそのチャックを開ける動作をする。ズボンの後ろのポケットに何か白いものを突っ込み、ふちが見えている上から、わざわざハンカチを突っ込みポケットの上からぽんぽんとそれを叩き周りを見回す職員。サイドバックを抱えチャックを開けて何かを突っ込む職員、トレーナーのようなものを腰に巻き付けていてポケットに何かを突っ込む職員、とこのビデオでは怪しいといえば怪しいと云えるような動作の連続で、その職員達も周りの職員達にも、全くの話緊迫感がない。勝手に出入りして電話を使う助役、収入役、秘書課員。上から下まで全くだれきっている。その上、開票場になっている体育館と思われる現場の一角には衝立が立てられていてその陰になにかのケースを持ち込んでいる職員がいる。山岡俊介氏のサイトでは「持ち込みを禁止されている消しゴムを使用している(投票用紙の書き込みは、周知のように鉛筆書き)」と書かれているが、この番組のビデオでは私は気が付かなかった。
 開票作業というのはどこの自治体も同じようなものだろうけれど、名目的には選挙管理委員会が実施するが、実際に開票作業に従事するのは自治体の職員である。しかも、概ね投票日は日曜日で彼らは普段であれば日曜日の夜に借り出される。この職員達はもちろん習志野市の職員で、勝手に出入りしている助役や収入役というのは彼らの上司であるから、中にきちんとした意識の持ち主である職員がいたとしても、なかなかそれを指摘できないだろう。
 しかし、実際の話、有権者のいったい何人がこうした開票状況を見に来るだろうか。私なんて一回もそんなところにいったこともないし、そもそもどこで開票作業が行われているのかを知らない。今度の選挙に際しては一度そんなところを見にいこう。どんどん有権者たる第三者がそうした現場に出かけていくようになったらこんなだらしのない、不正の温床になるような現場は生まれなくなるだろう。
 習志野市選挙管理委員会サイトによればこの時の市議会議員選挙での最下位当選は築沢平治氏で得票は1,036であるが、テレビ番組中に明らかにされたこの選挙の時の無効票総数はこの数を上回っているのだそうだが選挙管理委員会のサイトでは明らかにされていない。ここで明らかにされているのは投票総数と43名の候補者の得票数である。ならば投票総数から全43名の候補者の得票数を引けば無効票の数が判明する筈である。
 テレビの報告者の言によれば同じような規模の浦安市ではこの時600票台だという話だった。そこで各市の選挙管理委員会のサイトを巡って、無効投票数が投票総数のどれほどにあたるのか、ほんのちょっと見てみた。すると面白いことに市議会議員選挙投票における無効投票率はすべからく、市長選挙における無効投票率を下回っているのである。 
習志野市の2003年4月の市議選における投票者総数は59723票で、得票総数は58523.896票(按分比があり)で無効投票数は1200票となり、その割合は2.0092%である。しかるに同時に行われた市長選挙の方はどうかというと、投票総数が59734票で無効票が2617票でその割合はなんと4.3811%にのぼり、市議選の2倍を上回る。
 その他の市ではどうかと調べようとすると、過去の選挙のデーターを今でもきちんとウェブ上に掲載しているところばかりではなくて、掲載基準は相当に曖昧。中には習志野市のトップ頁のように民間企業の広告が入っているところまである。これは経費削減とはいえ、如何なものかと考えてしまう。
 では浦安市ではどうか。市議選の無効票率は1.3618%で、市長選のそれは1.6572%である。市長選の方が高いが、絶対数としては千票に届かない。市川市では市議選の無効票率が1.5199%に対して市長選では1.6936%となる。佐倉市では市議選が2.1251%であるが市長選は2.8860%とどちらも比較的高い。しかし、こうしてみると習志野市の市長選における無効票率はダントツであるように見える。しかし、これは全国平均でも出してみないとよく分からない。
 全く離れたところを引き合いに出してみると2004年4月の目黒区長選挙では三人の候補者のつばぜり合いで投票総数が65334票で無効票率は1.8015%である。高いというほどではない。
 しかるに一方的な勝負に終わった2003年4月の中央区著選挙ではどうかというと、投票総数35209票で無効票率はなんと4.1012%となる。
 ここでこんな仮説はどうだろうか。鍔競り合いの選挙だとその開票会場を見に来る監視の目が多くなって緊迫し、一方的な選挙となるとなんでもし放題なくらいに監視の目が少なくて、全く緊迫感に欠ける、というものなんだけれど。
ならば、くだんの習志野市市長選挙の結果はどうだったのか。
1当選 荒木勇   31,275
2   立崎誠一  25,842
結構鍔競り合いじゃないの。この仮説はこうして簡単にも葬り去られてしまった。上記の限られたデーターサンプルからいってしまうと、習志野市の市長選における無効票率が周囲の自治体のレベルから考えても異常に高いということは云えるが、もしそうだとすると目黒区区長選挙を検証してみる必要が出てくるはずである。

いずれにしてもこんなに緊迫感のない現場を創り出してしまっている習志野市の現助役(当時の収入役)はどんな言い訳をしたところでだぁれも信用しないだろうな。次は彼の公式な場での言い訳を聞いてみたい。