ほぼ足りてまだ欲 その先

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文才

 確か山本一力という時代小説作家は借金を返すために時代小説を書き始めたといっていたように記憶している。それまで彼の文才には誰も気がつかなかったのだろうか。そんなことはかすかに云われてはいたんだけれど、ご本人がそれを真剣に取っていなかったと云うことなんだろうか。私は彼の小説を全く読んだこともなくて、先日の「まとい大名」が初めて手にした彼の本である。その最初の部分をちょっと読んでみて、なるほど、作家というものはこんな風に書くものなんだと今更ながらに考えた。そんな時に36年前に同期で入社した友人からいつもの様に年賀状を受け取った。かつてはわざわざこいつは洒落たことを考えて書いているんだろうと「すごいじゃん!」と半ば冷やかしついでに云ったりしていたものである。それが近年ほとんど彼と会うことをしなくなって、年に一度の年賀状のやりとりしかしなくなってみると、奴の書くほんの少しの,いわばエッセーのようなものが実に気が利いていて面白かったり、感心したりするのである。ひょっとするとあいつは天才なのかも知れない、柄に似合わず。