ほぼ足りてまだ欲 その先

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「ジャパン・ボーイ」

 面白くて興味津々で読み進む。アメリカ陸軍情報部日本語学校のはじまりの部分を読んでいると『日の丸アワー 対米謀略放送物語」(池田徳眞著 中公新書545 1979)に出てくる森野正義の名前を発見。彼は日系二世でカリフォルニア大学で政治学博士号を取得。昭和14年に来日。15年に外務省に入省。元外交官であった藤村信雄のもとで対敵謀略宣伝センター企画室で従事。そういえば『東京ローズ』として米国国家反逆罪に問われ、その後恩赦となり、先年なくなったアイバ戸栗もカリフォルニア大学卒であった。
 マンザナ収容所で結成された「血盟団連合(Proud Japan)」の指導者のひとり、ジョー栗原は一世なのかと思ったら1895年ハワイ生まれの二世である。しかも第一次大戦アメリカ陸軍に志願し、フランス戦線に従軍したと書いてある。しかし、ロス・エンジェリスのターミナル島から48時間で立ち退けといわれ、その理不尽さに怒る結果になったのだという。
 日本軍は兵隊が日記をつけることを禁じていなかったものだから、ガダルカナル島での陸軍情報部日本語学校にとっての最大の成果は膨大な量の日記が捕獲文書として入ってきたことであると書かれている(p160)。これは本当なのだろうか。禁じていたけれども実は多くの兵がこれを秘密裏に記録していたと云うことなんだろうか。しかし、いずれにしろ相当量の記録を入手したおかげで非常に細かく日本軍の行動が判明していたようであるし、「戦闘序列」なるものまで回収され、海軍の艦艇名、航空部隊名、航空基地名、呼び出し符号、暗号名まで米軍は入手したというのである。