ほぼ足りてまだ欲 その先

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水門談合

 国土交通省は「入札談合防止対策検討委員会」の調査結果を発表した。この事件は毎日新聞が続けたキャンペーンがきっかけになったといっても良い。だから、毎日の新聞記事を追いかけるのが最もわかりやすいのではないだろうか。2005年の夏に近藤治久元課長補佐を初めとする職員が関与したという情報が寄せられたにもかかわらず動きはなかった。2006年の1月に三菱重工が水門に関する談合を自主申告。3月に公取委がメーカーに立ち入り検査。4月に毎日が「官製談合」を報じるも6月に国交省は調査の結果といって官製談合を否定。2007年1月毎日が豊田高司元技監らの関与を報道。調査委員会の設置。6月15日に出先機関の現職課長やOB計6人が談合に関与していたとする調査結果を公表。水資源機構も、元常務参与ら2人が関与していたと発表。合計8名が官側としてこの談合に関与していたことが明確になった。18日付で現職課長を停職2カ月の懲戒処分、監督責任として安富正文事務次官ら7人を訓告などの処分。冬柴国交大臣は昨年の7月に就任した安富正文事務次官の退任と峰久幸義国土交通審議官の後任就任内定を明らかにしている。この官製談合で既に実名が報じられているのは、山口甚郎元国土地理院長、豊田高司元技監、近藤治久元課長補佐等であるが、この他には元機械施工管理官、元機械課長、元課長、施設課長(現職)そして水資源機構の元常務参与と元理事の二人ではあるが、国交省の元課長については今回の委員会報告では関与を認定していない。
「入札談合防止対策検討委員会」は下記メンバーで構成されている。

  • 委員長:安富正文事務次官 (1948年生まれ長崎県出身 東大法卒1970年運輸省入省 鉄道局長、海事局長、官房長、国土交通審議官等を経て、2006年7月国交省事務次官
  • 委員長代理:谷口博昭技監 (和歌山県出身。1972年東大卒、1972年建設省入省。中部地方建設局、道路局、大臣官房、国土庁調整局等を経て、1998年建設省道路局高速国道課長、2001年道路局企画課長、2002年近畿地方整備局長、2004年道路局長を歴任。2006年7月より現職に就任)
  • 委員長代理:峰久幸義 国土交通審議官 (香川県三豊市詫間町出身 東大法学部卒。1972年建設省。官房長を経て2005年8月から国土交通審議官 安富正文の後任として事務次官就任内定)
  • 委員:竹歳誠 官房長 (1972年東大法卒。同年建設省入省 1977年オックスフォード大学経済学修士 2001年1月国土交通省大臣官房審議官(建設産業)2002年8月同大臣官房審議官(都市・地域整備局)、2003年7月都市・地域整備局長)
  • 委員:荒井俊行 総括監察官(1992年建設省建設経済局建設業構造改善対策官 1995年建設省建設経済局建設振興課労働資材対策室長 2001年建設経済研究所研究理事 2004年北海道局 2005年九州地方整備局副局長)
  • 委員:鬼頭平三 官房技術総括審議官(1948年生 1971年東京大学工学部土木学科卒業 1973年東京大学大学院工学研究科土木工学専門課程修了 1973年運輸省入省 1983年港湾局計画課補佐官 1988茨城県土木部港湾課長 1992港湾局計画課民間活力推進室長 1993港湾局計画課企画調査室長 1996第四港湾建設局北九州港湾空港工事事務所長 1997運輸政策局貨物流通施設課長 1999港湾局計画課長 2002北陸地方整備局長 2006港湾局長)
  • 委員:佐藤直良 官房技術審議官(1977東京工大土木博士課程 1995建設省河川環境課建設専門官 1997河川局河川計画課河川計画調整監 2001四国地方整備局河川部長2003水資源開発公団 2005大臣官房技術調査課長)「我々が今一番しなければならないことは、ダンピング対策である。」於 060928 平成18年度全国府県建産連会長会議
  • 委員:大森雅夫 官房審議官 (岡山県出身 東大法卒、1977年建設省入省 熊本県企画課長、国交省泥局総務課長、内閣府大臣官房会計課長)
  • 委員:宿利正史 総合政策局長 (官房人事課長 1998運輸省運輸政策局地域計画課長 2000海上技術安全局総務課長 2002航空局監理部長 2004航空局次長 2005自動車交通局長)
  • 委員:門松武 河川局長 (1973年東大土木工卒 1973年近畿地建淀川工事事務所採用 1983年国土庁水資源局水資源調査室課長補佐 1988年近畿地建姫路工事事務所長 2000年中部地建企画部長)
  • 委員:宮田年耕 道路局長 (2004年道路局企画課長 2005年九州地方整備局長)
  • 委員:中尾成邦 港湾局長 (2004年大臣官房技術参事官 2006年大臣官房技術参事官)
  • 委員:品川守 北海道局長(1991年北海道開発局 2000年北海道開発局河川計画課長 2004年石狩川開発建設部長 2006年北海道局長)
  • 委員:中島威夫 関東地方整備局長(1950年生まれ 東京都出身 1975年建設省採用 1986年福岡県土木部副理事 2001年 国土交通省国土技術政策総合研究所企画部長 2003年道路局国道・防災課長 2004年総合政策局技術調査官「我々が声高に訴えたいことは、価格競争だけでは、日本の建設業界は駄目になるということです。そこで国土交通省は、品確法によって、価格競争だけではなく安全、品質や技術を重視しています。良い仕事をしていただいた会社には次にまた良い仕事をしてもらおうという良い循環を作り上げようとしています。(日刊建設通信新聞社2006年12月20日)」

(アドバイザリーグループ委員)

アドバイザリーグループがどれほどの力をもっているのかは全く私如きにはわからないが、印象からいうととても狭い世界のメンバーによる調査委員会だと断定せざるをえないだろう。何故こういう事件、しかも霞ヶ関が関与している恥ずべき事件の詳細を調査する委員会を全くの第三者に任せて綺麗さっぱりにしないのか、という疑問は大きい。しかも与党参議院議員の名前まで出てきている。社会保険庁の大不祥事に隠れて国交省がどさくさ紛れに幕を引こうとしていることを忘れてはならない。国交省が明らかにしているこの委員会の第5回委員会はわずかに40分間の委員会に過ぎず、しかもここに来るまでに4回しか開かれていないことを見ても、真剣に国交省の内部から徹底的にその根源を排除しようとすると決意が全く感じられない。これを本当に国交省が真剣に捉えているとしたら、この程度の処分で国民に恥ずかしいと思うことだろう。
 なにしろ安富正文事務次官にしても就任後わずか一年間での退任が処分的な色合いが感じられないとは云えないまでも訓告程度であり、彼がこれからどんな人生を送ろうとしているのかをマスコミは報じ続けていくべきだと思う。出先機関の現職課長は停職2か月の懲戒処分にすぎない。なぜこれだけの犯罪(明確にこれは国民に対する横領であり、犯罪といって良いだろう)を犯したものを私は雇い続けなくてはならないのか。さっさと「公僕」としての立場から退場して頂きたい。