ほぼ足りてまだ欲 その先

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旧態依然

 どんなレベルの選挙でも選挙が公示されてから投票日までの間、どんなことが繰り広げられるのかといったらほとんど昔から変わっていないと思う。
 候補者は肩からたすきを掛けていてそこに大きく名前が書いてある。全然変わらない。昔に比べたらやたら幅が広く書いてある文字がやたら大きい。あれは要するに「こいつが本人だよ」という印だろう。そうじゃないと周りにバラバラ人がいてどれが候補者のなのかわからないからだ。だったらもっと違う方法があっても良いよね。下向きの矢印のついたシルクハットみたいなものを被っているとか。
 ワンボックスカーみたいなのに名前を書いた板を付けて大きなスピーカーをつけて「○○でございますっ!頑張っております!本人がご挨拶におうかがいしております!」って連呼する。みんなうるせぇなぁと思っている。やたら窓から暴走族みたいに上半身を覗かせてて、にこにこして手を大きく振っている。確かにジムに行くよりも腹筋、そして二の腕や背筋にも運動になっていそうで、健康には良さそうだけれども、こっちは気恥ずかしくて思わず顔を背ける。ちょっとでも眼があっちゃうと「ご声援ありがとうございますっ!」って反応されちゃって、近所の人に見られていないかを辺りを見回したり、早足で現場を離れようとするのだ。
 下手をすると候補者が車から降りて来ちゃって、その辺にいる人に握手をしちゃったりする。一般市民は人がよいから、その場で手を振り払って、やめろよっ!なんていわないから引きつった顔をしながら思わず相手に手を取られちゃったりする。でもって「あいつ、俺の手を取って握手なんてしやんの。結構良い奴じゃん!」なんて思わずいっちゃって、一体どこが「良い奴」だってんだよ。選挙終わったら、そんな奴だって「法の要求する通りにやっておりますから、これ以上ご説明をする必要はないと確信しております」なんてシレッといっちゃうんだよ。日頃からそれくらいぺこぺこして、にこにこして毎日を送ってみろよっての。「皆様あっての○○でございます」って毎日いって見ろよって。
 「少し反省しています」なんていって当選したらそんなこと誰の話だ、という顔をしている元不良小説家の某知事なんてのだっているじゃないの。
 こんなやり方で多くの人を欺して、誤魔化して成り立つものなんだから、この国の議会制民主主義が本来的な意味で機能しているとはとても思えない。だから、機能していなくても当たり前なんだと居直ってしまう方法もあり。だけれども、やっぱりこんなことでは「近代政治を取り入れた」積もりになっているだけで、一部の金づるのためだけの世の中になっちゃっても仕方がない。
 被選挙権は広く普遍的に全部の市民に与えられるべきでだけれども、選挙のために選挙民に与えられる様々な資料をどのようにつくりだすのか、もう一度真剣に考える必要があるだろう。現役の議員の活動については最後の当選以来どの様な発言をしてきているのか、どの様な報告をしてきているのかというのは当然だけれども、新人候補者については草の根情報をどの様にして収集して公開するかという点を考えなくてはならない。そのためにはどんどんウェブを使って提供できるやり方が必要なのではないだろうか。
 視察旅行に行ってコンパニオンを入れて、野球拳で裸になった女性を前にニマニマして写真に撮られちゃう市長とか、三等書記官を一等書記官と書いてせこい改ざんしていた区議会議員とかを見ると、にこにこ笑顔で手を振って、裏でヨイショして選挙を乗り切った奴より、落選した奴の方が人間的に正しいのかも知れない、なんて思っちゃったりする。
 いずれにしてもこんなおざなりな、表面的な、結構チョロい選挙のやり方なんていい加減にしよう。