ほぼ足りてまだ欲 その先

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フルキャストだけ?

 人材派遣大手のフルキャストが労働者派遣法に違反し、派遣が禁じられている業種に登録スタッフを派遣したとして、厚生労働省は2日までに、同社の全店舗に対し事業停止命令を出す方針を固めた。同社は同法違反の派遣を繰り返しており、同省の東京労働局は極めて悪質と判断。厳しい措置に踏み切る。関係者によると、事業停止は全店舗が対象で、10日間程度になる見通し。実際に違法行為があった店舗は1カ月以上になるとみられる。(20070803 07:00 日本経済新聞朝刊)

 フルキャストの関西の事業所が今年5月、数人の労働者を港湾地区での荷役業務に派遣。フルキャストには昨年8月、神奈川労働局が、神奈川県内の支店が建設業務への派遣をしたとして是正を指導。今年1月には宮城県警が、警備業務に労働者を派遣した疑いで仙台支店などを捜索した。さらに今年3月、全国308事業所のうち53事業所で、建設や警備業務への派遣を繰り返していたなどとして、東京労働局が事業改善命令を出した。(20070803 03:00 Asahi.net)

 フルキャストグッドウィルと並ぶ日雇い派遣に関しても大手。両社で登録している労働者が400万人にのぼるといわれている。グッドウィルコムスン問題から波及してデーター装備費が注目され、その返還についてフルキャストも動かざるを得ない結果となってきていた。グッドウィルの煮え切らない態度から学習していたかに見えていたフルキャストではあったけれど、その中身は当然大して変わるものではない。
 労働者派遣法の中身は改正がされる度に大きく緩和されてきていたのだけれどそれでも技術や訓練を必要とする分野については危険だという点もあるので、派遣の対象分野からはそれまで通り除外されていた。にもかかわらず派遣を繰り返していたということである。
 しかし、派遣する企業がいるということは、その相手として派遣によって人件費を削減して利益を上げようとする企業がある訳で、その企業がそうした人件費削減を行わざるを得ない理由があるはずだ。受け入れた企業を明確にしないということはより弱い立場にダメージを与えるだけのことにしかならない。これで多分フルキャストが業務停止期間の売り上げがなくなる等だけではなくて、多くの派遣先企業との契約が減少する可能性が高い。グッドウィルが結果的にクリスタル系の派遣企業をそうして吸収していった過去もある。
 法の内容として、派遣した企業は罰せられるけれど、それを受け入れていた企業には別段罰則がないのだとするとそれはバランスを明確に欠いているといって良い。経団連は派遣から正規の社員への登用制限期限を撤廃しろと要望している。それがあるとしょうがい者の雇用率の改善に至らないからだという。こういうのを屁理屈という。ことほど左様に産業側はできるだけ、いやできなくてもとことん搾り取ることを市場の目標にしてきている。経済の発展という甘い言葉を市民から搾り取るところから生み出すのであるならばそれは荒廃への一方通行にしかならない。
 教育基本法をまずいじるのであれば、こうした産業界の原点をまず改善していくことにこそやらねばならないところにあるだろう。
 どなたかから指摘されているように、確かにフルキャスト日雇い派遣の斡旋契約しているひとたちは皆どうしていくのだろう。彼らに対する補償はどうなるのだろう。やっぱり派遣を受ける企業だけにメリットがある方式になっているのだということは明確だろう。