ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

動物用葬祭場

 インターネットで調べてみたら動物専用の葬祭場というのがわが区にある。ネット上には三ヶ所存在するというHPが存在していることになっているのだけれど、そのうち二ヶ所の電話は「現在使われていません」だった。残り一ヶ所に電話すると男性が出てこられてこういう方式とこういう方式があって、いくらだとはっきりと説明してくれた。眼を腫らした四人は、箱に入れた「とらお」を風呂敷で包んで持っている長男を先頭にして到着。線香をささげ、屋上の焼き場に持って上がり、最期の別れをした。「とらお」はまるで寝ているようで、今にも「なにっ?」といった顔をして起きあがってきそうである。たくさんの想い出を残してくれたことに感謝して後髪を引かれながら分かれた。一時間ほどして、呼ばれて行ってみると彼はあっさりと白い骨になっていた。小さな壺に入れて貰い、まだ暖かさの残るその壺を胸にしっかりと抱えて家に戻った。玄関の扉を開いた時に、あ、ひょっとしたら猫の「とらお」が出てくるんじゃないか、という錯覚がした。だけれどもこの私が今奴を胸に抱えていたのだ。はっきりと「もういないんだ」と私に告げていた。こうして書き込んでいても、もう私の後ろにきてちょんと座り「にゃぁ」と人の気を引くように声を出すことも二度とないのだ。