そんなものが流行っているらしいということは聞いていた。私はA4の紙に自分の簡単な年表メモをつくっている。そんなものが何故必要なのかというと、ちょっとした経歴なんかを書かなくてはならない時に毎回指を折ったりして自分の節目を計算していたものだけれど、どんどん想い出さなくなってきたからだ。しかも私の場合、小学校が三つ、中学が二つ、大学に入る前に浪人なんてして計算が簡単じゃなかった。会社に入ってからの社内経歴なんてもう全くの話、想い出せない。多分ほとんど使えない社員だっただろうからあっちに弾き出され、こっちに飛ばされてその間の細かい異動歴なんて思い出せないのだ。28年間しか働かなかった会社の中で最も長い間勤務していたのはたかだか5年間だった。
で、その自分史なんだけれど、ちょっとググって見たら「自分史カフェ」なるサイトが存在し、「インターネット上で無料で簡単に年表形式の自分史を作成・公開できる」としてある。作成するのに便利な項目を勝手に入れてくれるらしくて便利なんじゃないかと思うがその自分史を「公開」するというところがどうも理解できない。自分の人生を全公開するということだからだ。と思いつつ開いてみると事例として公開されているその自分史はかつて仕事で接点があった元電通のCIマンだったのには驚いた。ここに書かれている彼の自分史は全部事実なんだろうか。今や大学の教授だそうだ。
しかし、誰が、あるいはどんなグループがこのサイトを運営しているのかが分からないというのが不気味だ。
