ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

政権末期

 米国ブッシュ政権は明らかに政権末期のばたばた状況を呈してきている。北朝鮮のテロ国家指定解除は表面的な評価だけを考えた行動で、この余波は大変に大きくて国際的に見てもそのアンバランスさは際だっている。
 以前に米国が同じようにテロ国家指定していたリビアから見たらあまりにも米国政権の姿勢として今回の措置が甘すぎることは明らかだ。もちろんリビアは実際に米国空軍機に向けて引き金を引いたという現実はある。しかし、リビアはとことん経済封鎖され、航空機の部品ひとつ入手できなくなって国家は疲弊した。カダフィはエネルギーを握っている側は圧倒的に有利だと信じていたけれど、それが金に換わらなかったら何も出来ないことを露呈した。その挙げ句に白旗を揚げたと言っていい。
 米国がこうした措置を主張したことが正しいか正しくないかという点はあるけれど、第三者からみても完膚無きまでに打ちのめされて、もうそんなことはしないという姿勢が見て取れていた。
 しかし、今回の北朝鮮に対するこの扱いには全くそうした現状は見て取ることが出来ない。米国がこのままでは解除しないぞと脅かすと、「あぁ、指定解除しねぇんならそれで良いよ、その代わりIAEAは絞めだすし、封印なんて、ほれこの通りだ」と破られて、直ちに白旗だ。
 もちろん、この国にこうした要求をしながらインドとの間での条約ってのはどういうことだ、じゃ、イランはどうするんだ、そして米国そのものは核についてどうするんだという根本的な問題がある。その問題を離れても、米国の読みは「北朝鮮という独裁で根本的に価値観が壊れてしまった国家」の扱いについて米国および米国国民の関心が薄い、ということがあるだろうということは否定できないだろう。米国政権が関心を持っているのはあくまでも究極をいってしまえば西欧であり、アジアは彼らの市場としての、はっきり云ってしまえば未だに払拭できない植民地的市場以外の何ものでもないといえるのではないだろうか。彼らはアジア域内の非人権的行動、被害について重大な危機感を全く共有していないことは火を見るよりも明らかだ。
 これだけ無能力だったブッシュ共和党政権の8年間は明らかに世界をどん底に引きずり込んだという前置きを持って今後語られることになる。