ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

立秋

 今日は早くも立秋だそうで、そういえば昨日、家の外をトンボが何匹も飛び交うのが見られたっけなぁと感慨にふけっていたけれど、考えてみたらガキの頃に白のピケのつば広帽を被って、白いランニング(タンクトップなんて訳のわからん名前じゃなくて、まごう事なきランニング・シャツ)に短パン、履き物は必ず下駄で、その辺の篠竹を切って作ったようなおもちゃ屋で売っていた虫網を振り回してはトンボをつかまえていたのは、暑い盛りだった。だから、トンボが飛んだからって秋なんかじゃなかったのだ。
 ガキってのは残酷なもので、トンボをつかまえると、羽を親指と人差し指でもって、トンボに紙を咥えさせ、その紙を思い切って引っ張った。するとトンボは引き裂かれてしまうのである。なんともはやなガキで、今だったらあいつは情緒障害だとスクール・カウンセラーに紹介されてしまいそうだ。
 そのクセ、広場での遊び仲間の幼子が、ようやくつかまえた蝉を手の中で「ビービー」いわせているのを見て、「そいつは長いこと地面の中に暮らしていて、ようやく陽の目を見たらあっという間に死んじまうんだ。可哀相だから離してやんな」と啖呵を切り、無理矢理離させて、その幼子はわぁ〜っと泣きながら家に帰った。まるで浦島太郎だけれど、その後私の所にやってきたのはその蝉がお礼に来たのではなくて、その幼子のオフクロが「この子をいじめたのは誰だ!」と怒鳴ってきたのだった。
 後にあの子はとても勉強ができて、一流の大学にいったと聞いて、恐れ入ったのだった。