ほぼ足りてまだ欲 その先

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雑誌Coyote休刊

Coyote No.40 特集:谷川俊太郎、アラスカを行く

Coyote No.40 特集:谷川俊太郎、アラスカを行く

 雑誌「Coyote」は2004年8月の創刊以来、人はなぜ旅をするのか、その先に何を見るのかを主題に特集を重ねてきました。見えない世界を見たいということ、そのために大切な感覚を求める旅を積み上げてきましたが、2011年1月号(No.46)をもちまして休刊することになりました。(こちら

 この雑誌はスウィッチ・パブリッシングが出していたのだけれど、私は近いうちにこんなことになるんじゃないかと思っていた。創刊号がここにあるんだけれど、特集は森山大道なんである。「旅をする人へ」としながら、最初に投げた見せ球が森山大道だという点で「旅をする人へ」につながるとは相当にクセ玉だ。だから、この雑誌は丸善なんかでは旅雑誌のジャンルじゃなくて、アートのジャンルにおかれていたくらいだ。一体誰が森山のコラージュが何頁も続く雑誌が「旅」をイメージしていると思うだろうか。
 それでも、ちょっと変わった視点から迫る雑誌だというイメージがあって、しばらくあとを追いかけていた。
 沢木耕太郎だとか、池澤夏樹だとかが季刊雑誌ながら現れていた。それが2007年の4月から季刊から月刊に変わった。その後吉本輶明が出てきたり、谷川俊太郎が出てきたり、面白い人を起用しているんだけれど、段々地域テーマを持っていくようになってきた。面白いといえば面白いのだけれど、一貫して流れているポリシーというものが感じられなくなってきてしまったのが残念で、毎号買うというパターンから外してしまった。
 例えば地域を特集するんだとしても、この雑誌の切り口でその地域を見ることができるのは相当にその地域に思い入れが強い人だということができるのではないだろうか。ふつうにその地域を歩いてみたい、と思う人はもっと実用的な本に行こうとするに違いない。その点ではちょっと凝りすぎたきらいがないとはいえない。
 読み込むと面白いのだけれど、こうした雑誌の割には写真のトーンが私の好みではなかったということもあるのかも知れない。読み進んでいくことによってほかほかしてこないで、何となく晩夏のスイスとかアラスカにいったかの如く、足下がすかすかする感じがして来ちゃうのである。わかるかなぁ。
 それで、近いうちにこんな日が来るんじゃないかと思い始めていたのだった。話題にしている人を余り見かけなかったなぁ、そういえば。
 この手の雑誌で間違いなく私のイチオシは、とっくになくなってしまったけれど、新潮社が出していた「シンラ」だった(1994年1月に創刊、6年半で休刊)。あれは良かったんだけれど、いい加減に書棚の雑誌を減らせと迫られて、集合住宅のゴミ置き場に出したら住民の一人が全部拾って持っていってくれた。彼はあれをどうしただろう。