ほぼ足りてまだ欲 その先

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記者クラブ

 今、各省庁にある政治系の記者クラブの閉鎖性が話題になっている。霞ヶ関や永田町がいいたいことをそのままみんなして書き、その代わりに会員各社には平等にニュースが提供されることによって特落ちすることがないようにできている。
 大臣の記者会見なんてのは記者クラブが主催して開いている、なんていうのがある。つまり、役所が主催しているんじゃなくて、限られたメンバーが参画している記者クラブが主催しているんだからメンバー以外は入れないぞということができると主張しているのは、ここに要因がある。
 概ねこの種の記者クラブのメンバーというのは朝毎読日経産経の全国紙5紙、主要地方新聞、通信社、各テレビラジオ局くらいだろうか。今時は各スポーツ新聞も政治を追いかけているけれど、彼等はどうなっているんだろう。
 政治部関係については接点がなかったからよく知らないけれど、経済部関連ではかつて重工クラブの他に機械クラブというのがあった。これは1999年に閉鎖されたと聞いているけれど、なんでそうなったのかを知らない。ウィッキペディアでは家主だった経団連記者クラブの退去を要求し、なくなったという。なぜだったのだろう。
 こうした業界の記者クラブは守備範囲が広くて、配付資料を持ちこんでも機械的に処理されるだけだったけれど、確実に、数行にしろ記事にすることはわかっていたから、そのつもりで業界各社は利用していた。決算発表も確実に開催するのだけれど、聴く人がいようといまいと機械的に開かれる。
 その他に各業界にはそれぞれの業界紙というものがあって、それぞれが仲良しクラブといっても良いようなクラブをどこかに持っていた。彼等を公平に扱わないとあとで問題が起きる。ベテランの業界紙の記者というのは長いことその業界に首を突っ込んでいるから、業界各社の歴史の集竜の流れから傍系の流れまで、非常に詳しくて、昨日今日働き始めた社員なんかじゃとても及ばない社内知識が方だし、人的繋がりは怖ろしいほど持っている。社内のことが思いもよらないところから漏れて書かれてしまうのは概ねそんなところからだったりする。それがばれても、その関係を断つことができない。
 業界大手の企業ともなると自社の中に記者溜まりを持っていた。コーヒー、お茶が完備されていて、電話が使いたい放題で、自分のデスクとして使うことができそうなスペースを新聞記者に公開していた企業もあった。今でもそれ位はあるんじゃないだろうか。今だったらさしずめ、無線LANを走らせておく必要がありそうだ。
 そういうところを利用していると、なかなかその企業を陥れる記事なんて書きにくくなりそうだ、というところを狙っているといっても良い。安定期にはそれでもこれで結構機能するんだけれど、改革期に入るとこれは大層邪魔になる。業界団体にとっても、業界各社にとっても広くあまねく情報を発信していこうとすると、かえって邪魔になるのだ。
 外資系にも取材して欲しい、若者に対して発信するためには雑誌にも取材して欲しいという話になっていくと、記者クラブベースで常にものを考えるというのは邪魔になるのだ。
 つまり、政治部がらみであっても、その姿勢を大きく変えていこうとする時にはそれまであったシステムでは機能しなくなるというのは誰が考えても当然のことだ。
 既得権威を振り回すという点では各省庁と其処にぶら下がっている記者クラブとは利害が一致する。それをぶち壊さないから今の大きな変革期にある日本の政治体制の中で大きな不具合が発生する。もう、政治部だからといっている時代ではないし、紙の媒体ベースからしか発想できない既成マスコミは益々追い込まれて行くのは眼に見えている。そういう点ではどことなく60年代の古い環境の中にある価値観の変化という点では似通ってきているように見えなくもない。