ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

BS世界のドキュメンタリー「新エネルギーの波動〜人類に残された可能性は?〜」

 これは再放送だったのだろうか。NHK-BS1で今朝午前0時に放送されていた番組。原題「Power Surge」制作:WGBH (アメリカ 2011年)というのだから最近の番組で、もう既に福島の原発事故についても反映されている。この番組の中に、昔懐かしい「The Whole Earth Catalog」の編集・制作者、Stewart Brandが登場した。1970年代、地に足をつけた文化、そして暮らし方を考えようという一大ムーブメントが起こってきた時にこの出版物は大いにそのオピニオン・リーダー的役割を果たしていたといっても過言ではないだろう。この出版物を知らない人にはある種の距離を置いていたというのが真実だといって良い。ところがこのStewart Brandが原発の支持者で、福島以降の現在でもその方針を変えていないというのだ。番組は福島の事故を引き合いに出したところまでは良かったのだけれど、今の最新型の原子炉ではその炉の上部に3日分の冷却水を溜めたタンクが載っているので、今回の様な事故には至らないかの様な説明がなされる。オイオイ、事態はそんなものではないだろう。一番問題なのは放射性廃棄物の処理システムが完結していない原子力発電というシステムそのものにあることが語られない。
 この番組が今年作成されたものではないのだろうと直感してしまった原因は、前半部分で二酸化炭素を放置しておくと地球の温暖化に大いに影響してしまうのだというあの論理をそのまま継承している点にあった。
 番組中に出てくる研究者が化石燃料のシステムをそのまま使った代替え燃料の可能性を語るが、コストが話にならないのだと笑うところでこの番組の限界が見える。アメリカ人はその電力消費を抑えることがまず第一に必要なのはわかるけれど、それを実現することは容易でないという発言、それが視聴者の共感を得るであろうという制作側の読みがこの番組の未成熟さを露呈している。誰が見る眼でも米国人が実にだらしなく、やりたい放題のエネルギー消費を、これっぱかりも反省することなく、続けていることを鋭く追求しなくてはならない時期に来ていることを教えてやる必要がある。エネルギーの無駄な消費が経済を高水準に安定化すると誤解しているらしい米国人は全世界を敵に回すことになりかねない。