ブルチャーク（ burčák)という看板を掲げたテントの前を通りかかると、大きなペットボトルに白く濁った液体を入れて売っているおじさんに声をかけられた。近寄っていくと、これはワインの熟成途中の状態なんだという。とにかく試飲してみろと、小さなプラスティックのグラスに入れてくれた。ちょっぴり甘い、そしてスパークする。アルコールはもちろんある。
ゴクンと飲み込んで思ったのは、どぶろくみたいだということだった。あれも酸っぱい。一瞬、俺はだめだなぁ、といったら、彼はなんと「大丈夫だよ、おれもSAKEは呑めなかった」と、思いっきり嫌みで返してきた。その直後に何人かの客があっという間に店を囲みはじめる。なんだ、俺が来たときには誰一人、客なんていなかったのに。なんだか招き猫だった。
