アール・ヌーボーなんてたかだか100年程度にしかならないのだから、まだ大した歴史物にはなっていなくて、アンティークの分類に入らない。まだ「セカンド・ハンド」程度かも知れない。それにしてもこれくらいあっちにもこっちにも残っていると楽しいものがある。
ところが日本ではあの頃のものがもうとっくにぶっ壊されてなくなっている。変遷がいつも、いつまでも繰り返される歴史であるという社会とそうでない社会とはどうしたって価値観に大きな差が生まれてくるのは致し方がない。
石の階段が角を切り貼りして使っているなんて日本では見たことがない。丸ビルだって、三信ビルだってとうの昔に所有者自らが歴史を粉砕した。
日本の歴史は「流れる水」に例えられるくらいだから残す必然性もないし、そこに拘泥する必要もないのではなかったのか。今更ながらに気がついた。