ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

オーストリア国立工芸美術館Osterreichisches Museum für Angewandte Kunst (MAK)

 応用美術博物館と書かれたりもしているようだけれど、この美術館が実に凄い美術館で、これに半日を費やす価値は充分にあるだろう。特にここにずらずらと並べられているボビンレースはもう驚くというよりもぶっ飛んで気が遠くなってしまうほどのきめの細かさで、一体誰がこれをどのような生活背景を抱えながら、そして一体何ヶ月という日々をかけて編み上げたのか、それを考えただけで、しっかりと老眼鏡に掛け替えて見届けなくてはならないという気にさせる。
 そして、この街で欠くことができないものが「アール・デコ」であるけれど、もうため息が出て、そのあたりを一人で急ぎ足で意味もなくぐるぐると歩き回りたいほどのコレクションなのだ。
 はなはだ残念なのは、この美術館は建物も含めて写真撮影が禁止されているということだ。全コレクションの図版があるのだけれど、そんなくそ重たいものを持って帰るわけに行かない。
 ここの美術館には日系の女性の方がおられて、偶々入り口で遭遇してお話をさせていただいたのだけれど、相当に手間をかけていることがよくわかる。日本語の解説書もあるのだけれど、展示の方法にもわざわざディレクションを依頼しているらしくて、ただ単なる展示ではないことは、表の壁をくりぬいて、そこを入り口にし、そのくりぬいた壁を内側のスティーム暖房のラジエーターごとくっつけたまま、外に立ててある、もうそこから見せてくれる。見事といいたいが、ショップ、働いているスタッフを含めて、私には「やり過ぎ」という印象を持ってしまうできである。

 椅子の展示は100点満点の90点を上げても良いだろう。今回はテキストの部屋が公開されていなかったところが大いなる減点であるけれど、全体的には85点を上げたいと考える。チャンスがあったら是非時間を費やしてもらいたい。

 ここにはクリムトの下書きが残されている。
 前回はこの美術館に足を運ぶ時間がなかったのだけれど、今回見ることができたのは本当にラッキーだった。

 そうそう、そういえばヨハン・シュトラウスの金色の像は無事元の位置に戻ってきていた。