ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

いわゆる「実習生」

 金華山沖約900kmの海上で、パナマ船籍ながら玉井商船がチャーターしている格好になっているばら積み船「NIKKEI TIGER」(約25,047総噸、45,363裁可重量噸、1997年竣工、坂健次船長 日本軽金属の原料となるボーキサイト輸送を主業務とする。船名の「NIKKEI」は日本軽金属のこと。空船でヴァンクーヴァーに向かっていたのは荷を取りに行くところだったから。)と三重県紀北町のマグロ漁船「堀栄丸(119噸)」がぶつかって沈没した。現場は低気圧の為にかなりしけていた様子である。
 「堀栄丸」には日本人17人とインドネシア人5人が乗っていた。一方、「NIKKEI TIGER」には日本人3人とフィリピン人18人の計21人が乗船していた。
 この種の貨物船の業界ではもう数十年前から3-4人の日本人船員が核になっていて、その他の乗り組みはほぼ全員外国人という運行形態がもう普通な状態になっていた。全日本海員組合はかつてはかなり強い組合だったことで知られていたけれど、全員日本人船員という形では外国の船との競争に勝てなくなり、実質的な船主は日本の企業だけれど、子会社であるペーパー会社をいくらでも登録し、その船籍をリベリアモンロビアだとか、パナマだとかにしてしまう。すると、税金が安くなることだけでなくて、日本の組合の枠から外れる存在になることが出来る。それで、現場を全部外国人にして少ない日本人が管理するということになる。いわゆる「グローバル化された社会」である。
 「堀栄丸」の乗り組み22人のうち、5人の日本人と4人のインドネシア人が救出され、12人の日本人とインドネシア人ひとりが未だ不明である。こちらのインドネシア人5人はいわゆる「実習生」ビザで日本で働いている人たちのようである。
 日本の第一次産業(こういう言い方は最近あんまり聞かないけれど、私たちの世代は学校でそう習った)は今やこうした人たちの存在なしには上手く稼働しないようになっている様だ。
 それにしてもこの「研修生・実習生」ビザの存在をいつまでこうして許していくのか、日本の行政はあまりにも怠慢に過ぎる。外国人を労働者として導入しないとやっていけないのだとしたらちゃんと彼らを「労働者」として認識するべきじゃないのか。実習だとか研修だとかという建前上の状況で労働環境をいい加減にするのはもういい加減やめにするべきだろう。彼らをそういう立場に追いやって安い賃金で搾取し続けることによって成り立つという状況では私たちは彼らの国で植民地政策を採り続けるのと、何ら代わりがない。
 派遣社員という肩書きで自国の若者も使い捨てにし続け、「原発は絶対に安全で、何よりもクリーンなんだ」ということにしてここまで稼働し続けている。
 「日本は建て前と本音の社会」という言葉でこうした欺瞞の上に私たちは暮らし続けるのか。