赤坂にあった「ニュー・ラテン・クォーター」の昔のオウナーが5-6年前に出した本を再版したのか、もう一度それを書き直したのか知らないけれど、似たような本が出ているからなのか知らないけれど、あのクラブを懐かしむ動きがあちこちで語られていて、はなはだ面白くない。あのクラブのおかげで確かにアメリカの歌い手が何人も日本に来て演奏をした。
しかし、あれがある間は日本がアメリカの植民地だったという証でもある。かなり裏社会がその気になって「世界の社交界」を気取って見せていた場であったといっても良いと思う。その最後の尻尾みたいなクラブが昭和60年頃に飯倉にあったけれど、あれもとっくになくなった。
赤坂には「月世界」とか、「ミカド」とか、その種のクラブというか、グランド・キャバレーというジャンルの店が残っていたものだ。横浜にあっては「クリフサイド」があって、少なくとも昭和40年代の後半でも店が開いていて、南里文雄がトランペットを吹いていた。
昔からその手の店には必ず暗い面が落ちている。大体その辺のサラリーマンはそんなところに出入りできるわけがない。濡れ手に粟で金を手にした普通じゃない連中が出入りした、そんな世界だ。まともなわけがない。
それにしてもその種の店の従業員だった女性が立身出世して若者に説教をし、「セレブ」っていわれちゃうんだから、世の中一体どこまでふざけてんだか。
昭和が愛したニューラテンクォーター ナイトクラブ・オーナーが築いた戦後ショービジネス
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