ほぼ足りてまだ欲 その先

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立原 加太

 信濃追分の公民館の壁に立原道造の詩のレリーフがある。

夏の旅
     村はづれの歌
咲いてゐるのは みやこぐさ と
指に摘んで 光にすかして教へてくれたー

右は越後へ行く北の道
左は木曽へ行く中山道

私たちはきれいな雨あがりの夕方に
ぼんやり空を眺めて佇んでゐた

そうして夕やけを背にしてまっすぐと行けば
私のみすぼらし故里の町

馬頭観世音の叢に 私たちは生まれてはじめて
言葉をなくして立ってゐた
             立原道造

 でこのレリーフを指し示す古ぼけた杭が立っていて、その下には「加太作」としてある。咄嗟に私はこれはあの「加太こうじ」に違いないと言った。
 帰ってきて調べてみると、案の定加太こうじは追分に別荘を持っていたという。