ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

 昨日から天気予報が「爆弾だ」「大雪だ」と騒いでいて、もうにっちもさっちもいかない状況に陥ってしまうんじゃないかと戦々恐々だったのだけれど、京都の市街地ではうっすらと積雪。牡丹雪が降ったり、やんだり、お日様が顔を出したりと、忙しい。夕方四条の大丸に買い物に入ったら店員さんが、濡れている私の傘を見て「あら、また降ってるわ」とおっしゃったので、「もうずっと、降ったりやんだり、降ったりやんだりですよ!」とお伝えした。
 こんな天気だけれど、というべきか、天気だったから、東本願寺さんがお持ちの「涉成園」をたずねた。案の定、雪が残り、その上訪れる人は極端に少ない。私たちが遭遇したのはなぜか振り袖を着た若い女性の写真を撮る方と、その付き添いという感じの女性。そして私たちとたいして世代の変わらない二人連れ。もうそれでおしまい。だから、池の端に立つと、こいの連中が、なんか頂戴よ、という感じで集まってくる。あとになってほぼ同じような状況だったのは、壬生寺の鳩。軒先にみんなして雨をよけていたというのに、私たちがやってきたら、なんか頂戴よとあとをついて歩く。
 「涉成園」は実に絵になる庭園で、もうバチャバチャとシャッターを押し続ける。しまいには「愕然として昼寝覚めたる一人かな」なんという河東碧梧桐の句なんかに感心してしまい、うんうん、そんなことが実に良くあるなぁと頷いている場合ではない、雪の散歩である。
 11時半になってすぐさま近所、七條の通りに面した割烹「いいむら」の800円定食を覗く。ただ、覗くわけじゃない、入る気満々で覗くのだけれど、今日の定食は「ウナギ丼ときつねうどん」と書いてある。中学旅行の中学生がタクシーの運転手さんに連れられて入ってくる。一人客のおじさんが二人。若い女の子の二人連れ。二切れのウナギとたれのかかったご飯、そしてだしの良い味のきつねうどんであった。
 七條の通りを西へ。JRの線路に沿って北へ上がる。島原の揚屋、角屋から壬生寺、八木邸を見物。角屋は残念ながら12月16日から3月14日まではお休みである。
 新選組の壬生屯所旧跡というのは京都鶴屋という和菓子屋があって、その奥にある。見物料金と、そのお菓子屋さんでのお薄とお菓子のセットというのがある。なんでお菓子屋さんとタイアップになっているのかと思ったら、11代八木家の屋敷に13名の新撰組がやっかいになっていたというが、このお菓子屋が16代八木家の方なんだそうだ。
 芹沢鴨を初めとすると5名の水戸藩脱藩浪士たちはどうもやりたい放題だったらしくて、非常に評判が悪くて、近藤勇を初めとする試衛館出身者たちが要するに粛正されたといって良いんじゃないだろうか。芹沢鴨はここで暗殺されたけれど、その日だって角屋からしたたかに酔っ払って芸者を連れて帰ってきて寝込んだっていう。しょうがねぇ野郎だった。なんだかこれじゃ破滅願望の男みたいじゃねぇか。
 尊皇攘夷の思想を同行している青年に英語で説明する若い女性が苦しむのも無理はない。私だって良く納得できていない。お恥ずかしい。
 三条のアーケードへ出て「トミヤ帽子店」に立ち寄ると、旦那がどこから来たかというので、東京です、というと、どうやら一昨年店にいた若旦那が今日は武道館へえーちゃんを聴きにいっているらしい。
 やってきたバスに乗って北野の天満宮に足を伸ばす。なにしろ今日は500円のバス一日券を持っているから、がんがんバスに乗る。循環のバスに乗って四条へ出る。高島屋の地下で明日の朝用のパンを買い、がんもやおやつを買い、本日のメイン・イベント。「田毎」の本店で夕飯を食らう。なんでこんなにのんびりしているのかといったら、今回のJR東海ツアーズパックでは午後8時過ぎの新幹線以外だとエクストラがつくのである。
 東京に着いたらもうすぐ午後11時になりそうなくらい。電車の中は忘年会帰りと覚しき人々だらけである。