ほぼ足りてまだ欲 その先

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報道特集

 昨日は失念して、TBSテレビの金平茂紀・日下部正樹の「報道特集」を見損なった。IWJのレポート(こちら)に依ると同志社大学の中田孝先生のインタビューを放送したそうだ。それによると中田先生はあの事件の間ずっと独自のパイプを使って「イスラム国」側と交渉を続けていたという。しかもそのルートから、日本側からの音声メッセージ(いかん滝手段を用いたものかは不明だけれど)を解説して欲しいといわれたのだそうだが、その発信者は「シリア臨時代理大使」となっていて、実態はヨルダンの日本大使館の参事官が兼務しているという。
 つまり、その程度の相手として交渉をしていたということだ。
 中田先生のルートからのメッセージ内容はすべて外務省に報告したが、結局、外務省から中田氏への連絡は一度もなかったという。
 ヨルダン政府の治安局も相談に来るといわれている、アラブ過激派の研究者であるハサン・アブハニア氏が指摘する三つの問題点。

  • すぐに動き出さなかったこと。昨年8月に湯川氏が拘留され、11月に後藤氏が拘留されても現地の対策本部に応援が派遣されはしなかった。増援されたのは二人がオレンジ色の服を着せられて跪かされた動画が公開された1月20日以降でしかなかった。国会で政府は相手がISILだと特定できたのはやはりその日だったと表明している。それまで相手もわかっていなかった。
  • この時期の中東諸国訪問と2億ドルを戦いを支援し、人道支援に提供すると宣言したこと。こんな事をしないで、イスラム諸国との友好関係を維持すべきだった。
  • 現地対策本部をヨルダンに置いたこと。なぜトルコにおかなかったのか。ヨルダンはISIL空爆に参加しているけれど、トルコは参加していない。トルコはこれまでに人質の解放に成功した実績がある。管官房長官は「シリア大使館がヨルダンに避難しているのだから自然な考えだ」と説明しているが、どうも説得力はない。

 ビジュアルジャーナリスト協会のメンバ−の話ではかつてに比較すると、外国人と行動をすることだけでも標的にされやすくなっているから、今はとても怖いという。
 それでも、朝日の支局長がシリアに入って取材をしていたことを批判されたり、今度のようにシリアに向かおうとするジャーナリストがパスポートを取り上げられたりするという自体は、とても理解しがたい。これは日本という国が大きく舵を切っているということを理解しなくてはならないだろう。
 結論として、この事件は直接的な交渉が必要だったということがわかる。この事件に関しても、自公連立安倍晋三政権は隠して通り過ぎようとしているけれど、それを許したのではこの国は益々間違いを犯す。そしてその間違いはかつての間違いに似通ってくる。