ほぼ足りてまだ欲 その先

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奢れるもの久しからずや

 かつてわが国は世界に冠たるお金持ちに上り詰めたことがある。当時の勢いといったらものすごく、カリフォルニア州を買ってしまおうかというくらいだった。実際、買えるくらいの力が理論上はあった。なにしろハリウッドの映画会社を買い取った会社もあったし、ニューヨォークの目抜きのビルを買い取った会社だってあって、随分顰蹙を買ったものだ。しかし、なにも顰蹙を買う必要もないのだ。何しろ金があったんだから。もう誰かに売りたいといっていたところにざくざく金を持った奴がやってきて「売って!」といったら自由経済の元にあれば誰に売っても良いわけだし。
 もう有頂天だった。「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」といって見得を切っていたんだから。「何が悪い!?」と言い放っていた。石炭や鉄鉱石を豪州から買うに際して、日本が「この値段にして!」といったらその値段で決まっていた。「今年はもうこれで良い、あとはキャンセル!」といわれても「はい、了解、毎度ありがとうございました!」と豪州はいっていた。たいそうな客だった。しかし、彼らがおなかの中でどう思っていたのかは全くの別問題。
 中国がやってきて、「俺たちにも売ってよ!」といいだした時に、日本は「あれ?」と思った。なにしろ中国の製鉄業なんてのは日本の中古の設備で動いていたから、俺たちのいうことを聴けよ、と思っていたし、そうなるだろうと思っていた。ところがぎっちょんだ!その後の市場の展開の可能性、消費量の拡大の可能性を考えたら、こっちが主導権を握るのはもう火を見るよりも明らかだ。あっという間に石炭、鉄鉱石の主導権は中国へぇ〜ッ!豪州もあっという間に主なるお得意さんを切り替えちゃう。
 アメリカへ行ったって、欧州へ行ったって、豪州へ行ったって、カナダへ行ったって、とにかく一番元気が良いのは今や断じて中国人。遊びに来るのも中国人、移民してくるのも中国人。実は現地の人間は日本人がやりたい放題していたときに見ていた目と同じ目で中国人を見ている。しかし、それは当然だ、儲かるんだから。もはや、日本人?え?それってどこの国?状態。
 そんなことに気がついていないのは当の日本人だけ。焦るばかり。「お、おれたちは!」「高等な文明を誇るぅ!」とどんなにいったって、彼の地の巷に溢れる「日本食」「SUSHI」「Japanese Cuisine」ったって、実際に経営し、調理しているなかに日本人が関わっているのなんて、ほんのわずか。本当に関わっているのは中国人、韓国人、マレーシア人、インドネシア人・・・。昔はそんな店の前に日本人が立ったら、向こうは「てへっ!」って顔をしたけれど、今じゃ「あれ、何人だよ?」といった怪訝顔。
 今度はどうしようかといったら、結局、「俺たちは強いんだぞ!力持ってんだぞ!戦うぞ!ぶっころすぞ!」といって軍事力を誇る国家にしようってんだね。そうすればみんなも一目置くだろうってわけだ。
 方向が違ってんぞ!
 本来これからとるべきは、自分の器を理解して、どこにいるべきかを適切に判断できる国家になるってことなんだけれど、これじゃ選挙に勝てないわけだな。「われわれはこれほど優れた文明を持つ、世界のどこにも存在しない優秀な国家だ!」というわけか。これじゃ昔欧州に突如現れたあのちょびひげ国家とかわらんじゃないか。