ほぼ足りてまだ欲 その先

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東京マート

 シドニーで駐在した日本人でNorth Bridgeにあるショッピング・センターの魚屋と東京マートを知らない人は多分いないだろう。誰しも必ずお世話になったはずだ。姉川商店にもお世話になったけれど。初めて赴任したときに最初に教えてもらったのがこの店だと思う。しかし、変な地名だと思った。橋がある。だからなんだとは思ったけれど。当時ここのお店では冷凍の納豆が買えた。それまで外国で食べた納豆といったらフリーズド・ドライの納豆で見事に元に戻るのにはびっくりしたけれど、かき混ぜて置いておくとすぐにネバネバが見えなくなってしまうものだった。それまで家ではそれほど納豆を食べる習慣を持っていなかったから別段困らなかったのだけれど、ここにきて初めて、そうだ!冷凍っていう手があったなと思い至った。
 週末といったら必ずこの店とこの店が入っているショッピング・センターには必ずでかけた。そうして日本人が集まるものだから、魚屋は冷凍のサンマを置き、八百屋は大根を置いていた。そういえばかつて英国の駐在員は大根が手に入らず、航海訓練所の船で知人がやってきたときに大根をくれたので感動した、といっていた。
 日本人が集まってくるから、当然仕事上の知り合いも、日本人学校に行っていた娘の友人家族にも遭遇する。しかし、我が家は車が一台しかなかったから、私が仕事上の付き合いがあったりすると買い物は後回しになったりしたものだった。
 その東京マートの起業者が日豪プレスで経緯を語っている。やっぱり元はいえば某商社の駐在員だったようで、それを思うと、商社業界もこれまで随分紆余曲折があったものだ。他人事ながら離合集散には悲劇や喜劇がつきものだ。その度に出先機関で働く人間はほぞを噛む。と思っていたら、私が働いていた会社もその例外じゃなかったわけだが。
 東京マートで常に買っていたものって一体なんだったのかと思って考えたがほとんど必須ではなかったのに、何故か何かが欲しくなった。米だって別に日本の米でなくてもSUN WHITEという名前の短粒米を近くのスーパーで売っていたから、それで済んでいた。