ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

 新しい本ではなくて、文庫になったのが一年前、昨年の3月だという本です。なんで知ったのか、もう忘れてしまったのですが、先月kindle版を買ってあったものです。なかなか一気呵成に読むチャンスがなくて、積ん読状態だったのですが、昨日一気に読んでしまいました。えん罪で無期懲役の刑が確定して17年というもの刑務所暮らしを強いられた菅家利和さんの事件を軸に北関東女児連続殺人事件を追うドキュメント。
 最初は何となくいわゆる「事件屋」として斬ったはったの世界を書いている人なのかと思ったんだけれど、実にフェアに細かく、マメに根性を出して追いかけている人で頭が下がる思いで一気呵成に読んだ。真犯人だとおぼしき人物にはとっくに目星がついていて、北関東の5件が皆つながっているのだけれど、警察・検察・司法の官僚たちが自らの保身、面子だけで仕事をしているが故に弱者をアンフェアに追い込み、容易に彼らの命を弄ぶ大変にけしからん社会の実態を浮き彫りにしていることがこれでもか、これでもかと語られ続ける。
 「まず、小さな声に耳を傾けろ」という言葉が重たい。本当に理不尽な、アンフェアなことをしつこく私たちも忘れずにスタンスを決めていかなくては彼らに申し訳がない。