ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

砂嵐

 本物の砂嵐はそれはそれは怖ろしいもので、午後から夜にかけて、ただただ堪えるしかありません。不思議と朝一番は全くいつもと同じで雲ひとつないのですが、はるか地平線の先にいつも登っているどこかのフレアスタックの煙がはっきりと横に流れているのが見られます。それが砂嵐のサインです。その日は仕事は多分昼頃で終わりだなという認識になります。昼飯前に宿舎に三々五々帰ってきて、昼飯を終わる頃には風が強くなってきます。午後はもはや建物から出るのも嫌になるようなビュービューの風です。ちょっとした隙間を見つけたらどんどん砂が入ってきます。現地の人たちの日干し煉瓦の、窓の小さな建物は意味があります。こっちは簡易な組み立てハウスですから隙間だらけ。最初の砂嵐の翌朝、枕元を見てびびります。砂が積もっています。雪なら解けるのに、砂は溶けません。翌日倉庫の管理人のインド人に工事に使うテープをくすねることを示唆して、自分の小屋の隙間という隙間をそのテープで目張りします。その時期多分みんなして仕事をしないで自分の小屋のメインテをしていました。
 そんな砂嵐の中、現場から都会の拠点まで車で走ったことがあります。命がけでした。唯一の舗装道路は流れる砂でつい見失いそうになりながら、フロントグラスは磨りガラス化し、途中で踏み込んでいるアクセルのスロットルに砂が詰まって、アクセルが戻らなくなり、その度にキーを回してエンジンを止め、路肩でエンジン・フードをあけて詰まった砂をはじき出します。車に戻ってくると頭から砂がボロボロと落ちます。
 想い出すと、二度とあんなところへ行きたくないと思いでいっぱいです。先日であったスペイン人の若者が軍隊でイラクへ二度、各半年いったといっていたけれど、それはそれは辛い期間だったのだろうと想像がつく。彼は自分で自分はあれから変わったんだといっていた。
 スペインまで軍を送っていたことを初めて知った。