ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

山頭火

 種田山頭火仲畑貴志というコピーライターが語っている番組をNHK教育テレビがやっている。昨日が二回目だった。再放送は翌週火曜日の午前5時5分からである。宵っ張りの私がそんなの見られるわけがない。山頭火は随分昔に何かを読んだはずだ。なんだか少し巧くいきそうになるのに、その良い所でずっこけるという日本古来の判官贔屓心が疼いてしまいそうなんだけれど、しょうもないやっちゃなぁという気になったのは多分この山頭火のことだ。ひと頃憧れたのである。なんでも良いから仕事をうっちゃって何もかも捨てて、ぐちゃぐちゃになっても良いからひとり・・・なんてことでも良いじゃないかと。なんでそんなことを思ったのか、今のこの煩悩に未練たっぷりの「私」からは想像が付かないのである。それがひょっとすると山頭火の影響なのかも知れないのである。しかし、それは何を読んでその気になったのか、全く思い浮かばないのである。もちろん自分がもうほとんどアルツ状況にあることもあるんだろうけれど、こうしてみるとあれだけ昔からあれでもない、これでもないと本屋の棚をどうにかして全部持って帰ることができないのだろうかなどと考えた挙げ句に選んだ本を読んだのに、なぁんも覚えていないのである。人間の頭脳というのは本当に驚愕するほどに精密にできているにもかかわらず、私の場合に限っては多少、不便にできているのかも知れないのだ。

忘れないうちに

 談合の話の中でなんで指名入札で一般競争入札にならないのか、という話がある。どんな入札についても同じレベルで話すことはできないし、ましてや工事物件と納入物件(つまりインストレーションを伴わない物納案件)とでは話は違うけれど、工事の場合でいうとその工事のノウハウを持っていない業者が落札してしまったら困る、という観点がある。そんなのなんで発注者が評価できないのかといえばそんな技術者を抱えているわけがないからだ。例えばゴミ焼却施設の建設案件なんてことになったら分かっていない業者に応札されたって困る。評価できるコンサルタントを雇えばいいじゃないかといったら建前上は起用するけれど実態は繋がってしまっていたりする。名前だけは違うものになっているけれど、どこかで繋がっていたりする。じゃ、国際案件のようにパフォーマンス・ボンド(ちゃんと仕事をするという証のための預け金。ちゃんとできなかったら没収されちゃう)を積ませることにすればよい、という話も出る。まぁ、実際には現金を積むわけじゃなくて、銀行から「保証します」という一札を入れて貰うわけだけれども、それだって銀行はただでそんなことするわけじゃないから経費がかかる。そんな負担ができる所といえば、結局数は限られて来ちゃう。だから、何でもかんでも一般競争入札にすればこんなことは起きないんだ、とはなかなかいえないというのもある。案件別入札方式決定指針みたいなものを中央で考える必要があるかもなぁ。現場に任せるとこりゃまたずるずるになっちまうと思うな。水は低い方に流れていっちゃうからなぁ・・。

企業買収

 なんでも11月の中旬にグッドウィルがクリスタル(観光バスのクリスタルもこのグループ)を880億円で買収したと発表したのだという。どちらも人材派遣業を主とする企業である。クリスタル系列社が偽装派遣で問題を起こしていたことは一時期大きく報じられていたが、多分その後マスコミに名前は出てこなくなっていたからほとんどの人は忘れているかも知れない。
 クリスタルもグッドウィルもその業態の中で「居宅介護事業所」を運営している。グッドウィルのこの分野は「コムスン」という名前で随分知られている。介護保険が始まった2000年に大々的に宣伝をうち(今でも宣伝をうっているけれど)、経営者の前職のことから立志伝中の人物のようにもて囃された。しかし、始まってみると利用者が確保できる所とそうでない所がはっきりして、介護保険が始まる前から民間は儲からなきゃ撤退しちゃうことになるじゃないかと(郵政民営化でも大きく問題点として取り上げられていたことが)危惧されていたけれど、案の定儲からないだろうところからはさっさと撤退していった。
 クリスタルはどこからこの分野に参入してきたのか私は知らないけれど、私が住んでいる地域では地元で稼働していた居宅介護事業所を何年か前に買収した。だから利用者にしてみると今私はなんという名前の事業所と契約しているのか、よく分からなかったりする。尤もそんなことは大した問題ではなくてきちんとヘルパーさんが支援に来てくれればそれで良いわけだけれども。今回グッドウィルが買収したことで何が起こるのか働くヘルパーも、そのサービスを受けている利用者側も多分不安に思っていることだろう。クリスタルは前経営者が始めた会社のようだけれど、その創業者(林純一 1945年生まれ?)が9割近い経営権を握っていたと云うことだから、彼は週刊誌等のマスコミにタイする名誉毀損の訴えを続けることになるのだろうけれどかなりの資産を受け取って売り抜けた、ということではないだろうか。
 グッドウィルに売却する直前に私が暮らす地元のクリスタル系事業所ではどうやら訪問介護員(ヘルパー)に対してそれまで支給していた通勤費を全面的に廃止してしまったようだ。高齢化の進んでいるこの地域ではヘルパーのなり手がいない。だからヘルパーの中には毎朝通勤電車で隣接県から通っていた人が相当数存在した。その結果もちろんその方たちは自腹を切ってまで仕事をするのはいやだから辞めていった。当然の帰結である。それでなくても全国的に介護職に就くベテランは少ない。訪問介護の場合は調理の伴う仕事もある。若い人たちでは巧い具合には行かなかったりする。もちろん施設での介護であれば、そうした問題は少ないが、訪問介護は経験がものをいう職種である。その話を聞いた時におかしな方針をとるものだなぁと思った。全社的にその方針をとっているのかどうか分からないが、これは明らかに地元で就労してくれる人を賄うことができると踏んでいる(誤解している)ということになるわけで、少なくともこの地域では明確に間違いである。
 そうした直後のグッドウィルによる買収で、二つのことを思った。ひょっとするとグッドウィルがそうした通勤費を全く出していないので、買収を前に条件を揃えることを求められたのか、あるいは利幅を大きく見せてグッドウィルによる否定的分析を避けようとしたのか・・。あるいは、全く違っていてただ単に経費を削れ、いざとなればこんなやり方もあるという指令だったのか。偽装請負の背景にあるように労働搾取で儲けようとする文化にあったことがなしえた行動か。一説には創業者の社員に対するコメントとして「業界ナンバー1になるには違法行為が許される」としていたらしい(Wikipediaより)からねぇ。
 それにしても介護労働の実態をきちんとつまびらかにして行かなくてはならないだろう。

ニュース

三菱ふそう

 この会社はどこまでノー天気なんだろうね。

12日、系列の整備工場259カ所のうち4割弱にあたる101工場で、年1回の車検時に実施すべきハブの摩耗を点検していなかった、と発表・・・「2004年のリコールで強度が高い交換品として使われたので、点検しなくてもいいと勘違いした」と答えた(2006年12月12日22時41分Asahi.net)

 それでもって、今日の横浜簡易裁判所の無罪判決は全くくだらない論点での裁判で、そもそも三菱ふそう元会長宇佐美隆被告(66)をふくむ3人が改正前の道路運送車両法に基づく国土交通相からの正式な報告要求に対してうその報告をしたか、しなかったかという論点なのである。
 それで、小島裕史裁判官は「国交省は正式に報告せよ、だなんていってないよ。だからもともと嘘をつくもつかないもないんで、当時の三菱ふそうでは整備不良だと思っていたんだからしょうがない」というものだ。だから、この判決をもってはずれたタイヤでひき殺された母娘が浮かばれるか浮かばれないか、という話にはならない。あれだけの事故が起こっていたのに知らん顔をしていた、あるいは見ないようにしてきた三菱ふそうの責任はとんでもなく大きいことは間違いがない。「天下の三菱」と本人たちは思っているんだろうけれど、実態はペテンそのもの。

残留孤児訴訟、国が控訴

 12月1日の神戸地裁での判決が国による賠償責任を認めたが、国は残留孤児たちの願いも虚しく、控訴を決定。控訴理由は、入国を許可しなかったのは入国管理法に基づく行為で、「入管法の解釈を誤っている」だとしている。もちろん昨年7月の大阪地裁判決(原告敗訴)も含まれており、北朝鮮拉致被害者との比較については「被害の性質を同視するのは誤り」と批判した。東京原告団の池田澄江代表(62)は「国は私たちをもう一度捨てたようなものだ」と声を震わせた。(2006年12月11日20時55分Asahi.net)

 厚労省内ではまだ真剣に中国残留孤児をどのように処遇するべきかについて前向きに真剣に討議していない、あるいは省内、政府内のコンセンサスを得るに至っていないのではないか、という雰囲気を感じる。それは入管法解釈についてのように甚だ枝葉末節とも思えるような争点を持ち出してきている所にも窺えるような気もする。
 北朝鮮拉致被害者の現状との比較を「誤り」とする論理は今の日本であれば支持者は声高に喧伝しそうな気がする。中国で暮らしていたら良かったじゃないか、どうせ日本に帰ってきた方が良い生活ができると思って帰ってきたんだろう、贅沢いうな、無理矢理連れて行かれちゃった拉致被害者とは根本的に違うんだ、という反応がきっと出てくるんだろうなぁ。帰りたくても帰ってこられなかった同胞に変わりはない筈なんだけれど。

あれはサッチモじゃなかったのかぁ

 訃報:ジョージア・ギブスさん(米歌手)AP通信によると、9日、白血病による合併症のため、ニューヨークの病院で死去、87歳。1919年、マサチューセッツ州生まれ。10代の時からボストンで歌い始め、1952年には「キッス・オブ・ファイアー」が大ヒットした。ポップ、カントリー、バラードなど幅広いジャンルの音楽をこなし、ヒット曲を紹介する50年代のラジオ・テレビ番組「ヒットパレード」への出演で知られる。(ニューヨーク共同-東京新聞

 ♪I touch your lips and all at once, the sparks go flying ♪というキッス・オブ・ファイアは私の頭の中ではサッチモLouis Armstrong)があのしゃがれ声で歌い始める。だから、米国Wikipediaに「1952年にこの曲でヒット・チャートのナンバーワンだった」といわれても、「誰、それ!?」状況である。もっともあの曲もアルゼンチン・タンゴの「エル・チョクロ」をそのまま持ってきたものだという。それにしても「ジョージア」は女性名だったんだなぁ。そして「ヒットパレード」という番組名は良くあるようにアメリカ番組のパクリだったんだねぇ。そういえば日本のテレビ番組って随分そのままパクっていたけれど、あれは全部アメリカのテレビ局に幾ばくかを支払っていたんだろうか?そうでなくちゃ今度のJTB著作権乱用事件をニュースとして報じる立場じゃなくなっちゃうじゃないの。そういえばかつて関口宏がやっていた「クイズ百人に聞きました」ってのがあったけれど、あれなんてまんまパクっていたものなぁ。あの番組で関口宏の今のテレビ・キャラクターができたといっても差し支えないんじゃないかと思うけれど、あれなんて米国の司会者のキャラクターそのものだったものなぁ。JTBの今回の著作権法違反事件は見せしめだろうねぇ。こんなに各テレビ局を総動員して報じるようなものなんだろうか。カメラマンは「いつまでも調子にのってんじゃねぇぞ、ちゃんと払え!」という裁判で賠償して貰うべきだ。