ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

CO2の代わりに

 《写真:「えんじゅ」というマメ科の木になった実。なるほど確かにマメのようだ。》
 世は地球すべてを上げてエコに邁進していこうとしているかのごとき様相を来しつつあって、きっとそんな簡単に世の中がこっちの方向に動いていくことはないんだろうなぁと悲観的な予想を立てていただけあって、ちょっとあっけにとられつつある。
 CO2の排出量を非常に効果的に下げるためには化石燃料の焼却によるエネルギーの活用を見直さなくてはならなくなるわけで、発電方法にしても多角的な天然エネルギーを使わなくちゃならないというのは緊急で最も好ましい方策だろう。
 しかし、それは安定性を保つのが大変だから安定供給に問題があるという意見が多い。しかし、それだってますを大きくしていったらどんどん安定性を増してくるはずなのでさほど問題はないはずだ。ところが世の中でなされている解説を聞くと、「不安定性」が強調されるばかりだ。そこで「昔の名前で出ています原子力発電について、「全くCO2を発生しないクリーンなエネルギー」キャンペーンが盛んに行われている。全くCO2を発生しないというのはかなり真実に近い。しかし、「クリーン」では決してないのはチェルノブイリを見れば明確だし、核廃棄物は必ず発生しているわけで、これを「クリーン」という言葉を使うことによって人心を欺き、大嘘をついていることをマスコミがこれっぱかりも報じないのは彼等が電事連のコマーシャルを大きなスポンサーの一社として評価しているということの表れであることを、一体誰が国民に告げる役割を果たすのだろうか。マスコミもやらない、政権与党はもちろんやらない。野党だって、やらない。辛うじていっているのは社会民主党の福島弁護士だけである。少なくとも原子力は「クリーン」ではあり得ず、いつの日か地球上を放射能汚染で一杯にすることだろう。

責任を果たす

 昨日、東京都知事が会見で2020年夏季五輪について「名乗りを上げることは私の責任」と話し、招致を目指す考えを示したと各紙が伝えている。
 どうもこの人は前からむちゃくちゃな人だったけれど、ことオリンピックに関しては全く状況が判断できなくなっているんじゃないだろうか。彼が今果たすべき「責任」というのは今回の「無謀」なオリンピック招致運動の結果、一体どれほどの金を遣ってしまったのかについて詳細な報告を都民に対してすることがまず第一だろう。
 巷間伝えられるところによると、あの招致運動にあたっては都の財政から100億円、民間からの寄付金から50億円の合計150億円が支出されたということになっていて「都の財政にとっては痛くも痒くもない」と都知事が言明したことになっている。しかし、少しずつ漏れてくる話によると、都から補助金が出ている団体からの寄付というのは元を辿れば都の財政からのものであるし、招致委員会の仕事をしていた都の職員は実質的にはその仕事に専念していたわけだから、彼等の人件費(およそ28億円ともいわれている)も本来的には都からの招致運動に要した歳出額に含めなくてはおかしいとも揶揄されている。
 今回の招致運動で何が必要で、何が合致していなかったのかというノウハウを手に入れたんだからそれを生かさなくてはならないというのはとても狭い視野の発言だというほかない。だったらそのノウハウを全面的に次回招致に乗り出したいといっている広島・長崎連合に提供すればよいわけで、多くの支持を集めることのできなかった東京都が抱え込んでいれば良いわけではないだろう。
 しかも彼の任期は来年の春までである。次の都知事に誰がなるのか、全く今の段階でわかりもしないところでなにが「私の責任」なのか。あなたの責任は招致委員会なるものがどれほどの費用をどんな用途に使ったのかを都民につまびらかにすることに尽きる。

「しらせ」

《写真:5月の一般公開時の二代目「しらせ」》
 11月は南極観測支援艦が日本を出発する月である。特に今年は新造船の二代目「しらせ」の南極への初航海にあたる。そもそも南極観測支援艦は海上自衛隊に所属する。初代の「宗谷」は海上保安庁の所属であったけれど、「ふじ」からは海上自衛艦であった。当然運用は予算に基づいて行われているから出発も帰還も、そして暴風圏内での滞在期間も予定に従って行われる。だからいつぞやの他国の艦船の救出協力に際しては実行して良いか良くないか東京の指示を仰いだ。
 かつては観測隊の一行も晴海から乗船して出発したので、出発に際しては多くの見送りがあってそれは華やかなものだった。今では晴海を出港する時点では観測隊員は乗船していない。彼等は豪州のフリーマントルに寄港した時に乗船するので24日に成田から飛行機で出発する。そして来年の3月に本艦がシドニーに寄港した時に下船し、飛行機で帰国する。その時点から先は海上自衛隊員のみで晴海まで帰ってくるという案配になっている。
 その二代目「しらせ」は本日晴海を出発するのだそうだ。もうすでに今月5日には先遣隊5人が出発していて、南アフリカケープタウンから航空機で昭和基地に先乗りし、今回から始まるコンテナ輸送の受け入れ準備に携わることになっているんだそうである(asahi.com 2009年11月5日11時16分)。
 さて、初代「しらせ」だけれど、今日はそっちのニュースも報道されていた。1982年10月に竣工した初代「しらせ」は1983年11月に初めて南極に向かって晴海を出発した。当時はNHKが新型の南極観測船の出発にあわせた番組を作成して放映した。夕陽に向かって出発していく「しらせ」の姿をヘリコプターから捉えていた画面を忘れることができないでいる。
 退役してからの「しらせ」は引き受け手がなかなか見つからないで、とうとうしまいには解体スクラップ、という方向性まで打ち出され、南極マニア(そんな人たちが本当に存在する)を嘆かせていた。昨日南極地域観測統合推進本部が発表したところによるとこうだ。

 民間の気象情報会社「ウェザーニューズ」は、「しらせ」を南極観測の歴史や意義などを紹介する施設「SHIRASE」として、よみがえらせる。船橋港(千葉県船橋市)に係留して、来年10月には利用を始める計画。首都圏のゲリラ豪雨を追跡するレーダーを設置するほか、気候変動に関する最新情報も発信する。購入代金のほかに、改修費が10億円、維持費に年間1億円がかかる見込み。(2009年11月9日19時44分 読売新聞)

 共同電によると売却額は調整中で引き渡しは3月の予定ということだけれど、国有の船だから売却額は公開されるはずだ。そしてだからこそ会計年度に縛られるということになるのかもしれないが、折角行き先が決まったのだからちょっとでも早く民間に渡してしまえば余計な経費がかからないのではないだろうかという気がしないでもない。かつてだったら「あぁ会計年度の関係があるからね」と納得して当たり前だったけれど、政権が交代して、なにもそうした考えに縛られる必要がないんだという発想を持てるようになったことがかつてから考えると大きく世の中が変わってきているんだと実感する。
 「ウェザー・ニュース」社にとってはあの巨体を抱えるメリットが本当にあるのだろうか。民間の会社で維持できるのだろうか。「宗谷」を保持している「船の科学館」では相当もてあましていそうだし、実際メンテができずにいる。「ふじ」は(財)名古屋みなと振興財団が保持している。
 一方、その初代「しらせ」が持っていた予備(だとおもわれる)スクリューブレード(羽根)が「日本初の南極探検隊に参加した白瀬矗(のぶ)の出身地、秋田県にかほ市などゆかりの地に譲られており、日本初の南極探検隊が出発した地、港区立埠頭(ふとう)公園にも設置された」と東京新聞(2009年11月8日)が報じている。
 船を係留して一般に公開しようとすると法令上船でないものにしなくてはならず、プロペラを抜き、見学用に消防法に基づく改造を施さなくてはならなかったのではないかと思う。従って改造工事が必要となる。
 今回「ふじ」はどうなっているのかと思って調べてみると、「名古屋海洋博物館」のサイトには「今回の企画展では、第一次南極観測隊から、計7回の南極観測に参加し、昭和43年に極点旅行隊を率いて昭和基地から2,500km離れた極点まで日本人で初めてとなる南極点踏査に成功し、わが国の南極観測の黎明期(れいめいき)を牽引(けんいん)され生涯を南極観測に捧げた、村山雅美氏について紹介」するという展示会が今月29日まで開かれていることが書かれていた。第一次南極観測隊を支援した「宗谷」の当時の松本船長のお名前も懐かしく思い出された。
 ご覧のように私は南極観測支援艦マニアである。
 NHKは朝7時のニュースで晴海埠頭にいる二代目「しらせ」*1の艦上から生中継した。

*1:面倒な表記になるのはわかっていたのだから、なんでまたこの船も同じ名前にしたのだろうか。はた迷惑も甚だしい。