ほぼ足りてまだ欲 その先

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「トーマス・ウルフ」


 アメリカの小説家。名前も聞いたこともなかったし、勿論本も読んだことはない。たった二冊くらいしかない邦訳版だってとっくに絶版。そんな作家と彼を担当した編集者の話が、映画になって「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」というんだけれど、原題はなんとあっさりと「GENIUS」でございますよ。どうしてこんなさっぱりしたタイトルがそんな面倒くさい、玄人好みと思わせるタイトルにしたんだろうかね、といったところで日本の配給元は「したり!」と膝を打つんだろうか。
 アメリカ文学にまったく暗い私としてはトーマス・ウルフがどれほどのものなのか知らんのだけれど、この編集者は凄い。なにが凄いって、あれだけの枚数を読み、なおかつ赤を入れていくという作業をやりこなす根気も凄いが、良くもまぁあれだけ家族を放り出して仕事に専念して家庭が崩壊しなかったものだと(しかかるのだけれど)呆れる。
 ヘミングウェイも出てくるのだけれど、作家という職業の人たちにはこういう破天荒というか、激しやすい性格でないとダメなのかねぇと職業としての人間性のあり方に思いが及んでしまいそうだ。トーマス・ウルフは37歳で肺結核を患って死んでいて、ビート・ジェネレーションにも影響を与えた人なんだと聞くと、作品を読んでみたい誘惑に駆られるけれど、読める邦版がない。母校の図書館がこういう時に役に立つはずなんだが、クレジットカードを作らないと貸し出してくれない。それでいて、寄付をしろといってくるのは如何なものか。
 ところでその編集者、Maxwell Evarts "Max" Perkinsが住んでいたというコネティカット州ニューケイナンの住宅は約530平米で暖炉5つ、寝室は7室あるそうで、2015年の売値は350万ドル(約4億2600万円)だったそうだ。

Cafe Society


 またまた、ウディ・アレンの映画である。邦題をなんといったか覚えていないなぁと思ったら、ただ「カフェ・ソサエティ」という。わが連れ合いにはウディ・アレンはそれほど評判が高くない。どうもしつこいからではないか、という気がするが私は実は大好きである。ま、確かに山田太一の「男は辛いよ」に通じるものがあって、いつも同じパターンを手を変え品を変えて描いているような気がしないではないけれど、一種イタリア、シシリー島出身の人たちに通じるような、ジューイッシュの世界を描き続ける。ジューイッシュをほとんど知らない日本の人たちにはどのように映っているんだろうか。ジェシー・アイゼンバーグウディ・アレン映画にこれほどぴったりはまるとは思わなかった。
 前回の「ブルー・ジャスミン」もとても面白かった。「ジゴロ・イン・ニューヨーク」はどうも展開がわかりすぎているような気がしてみたくなかった。「教授のおかしな妄想殺人 IRRATIONAL MAN」と「マジック・イン・ムーンライト MAGIC IN THE MOONLIGHT」は気がつかなくて見ていない。どこかで見なくちゃ。

2016年12月21日のツイート