ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

ボランティアと営利企業

こうした話の延長線で日頃思っているのは、ボランティアの本来的
ボランタリズムはどのような状況で本来的に発揮されるべきかとい
う点である。
ありていにいえば、昨日の友人たちとの議論の中でも再確認された
のだけれども、「ボランティア」という言葉でオブラートに包んだ、
低賃金、もしくは無賃労働が隠されてはいないか、という点である。


たとえば、特別養護老人ホームやデイホームが多くの場合、そこか
しこでボランティアを募集している。
その中には洗濯物をたたむ、利用者の方の話し相手、散歩の介助・・
数限りないボランティア作業が連ねてある。
しかし、このほとんどの施設は法人である。
これから、株式会社を初め、営利企業がどんどん進出してくる。
(もうどんどん進出してきている。)
そうした場合、このボランティアは体の良い、無賃労働者なのではな
いだろうか。その仕事は本来的にはきちんとした対価を支払われる職
員がすべき仕事であるし、それを経費として織り込んでも成り立つ業
務でなくてはおかしいのである。

もちろん、どう考えても資金が足りないという作業は存在する。
例えば養護学校の放課後クラスや、普通の学校でのしょうがい児対応
クラスの運営は非常にフレキシブルであるから予算の設定が難しい。
文部科学省が妙な理屈をつけて補助しない。
するとすぐ目の前に対応していくためにはどうしても手伝ってくれる、
そんなボランティアが必要となる。


例えば、イベント企業がコンサートの切符を売って儲ける。
しかし、そのコンサートの場内警備員をすべてボランティアで賄った
とする。それはやっぱりボランティアであるべきではないだろう。
チャリティーコンサートであるならすべての人がボランティアで参加
すれば良いのであるが。


はたしてちょっと単純な議論だろうか。


例えば、こんなボランティア募集が都内某区の社会福祉協議会が持つ
ボランティアセンターのボランティア募集HPに記載されている。

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デイホーム○○では、下記内容をお手伝いいただけるボランティアさ
んを募集します。
 ・利用者の方との交流、話し相手
 ・外出時の介助
 ・清掃、配膳のお手伝い
 ・レクリエーション活動の補助
 また、演芸などを披露いただける方も大歓迎です。
 皆様からのご連絡、お待ちしています。
日時:09:00〜17:00の間で何時間でも結構です。ご相談ください
募集人員:20歳以上の方で性別問わず2,3名(心身ともに
健康な方)

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ごく普通の高齢者デイケアホームのボランティア募集である。
なんの変哲もない。
しかし、このデイホームは誰が経営しているのかというと株式会社ナン
トナク介護センターという純粋営利企業である。
このナントナク介護センターという会社はその名前からも想像ができる
ように、ナントナク・グループという非上場でありながら、年間売上43
億円といわれる人材派遣企業である。これだけの企業でありながら、自
社のホームページは存在しない。
企業としてのアカウンタビリティー意識は明確に低いといわざるをえな
い。

この企業が募集するボランティアは明かに経費節減、利益確保のための
ボランティアであると考えざるをえない。
ボランティアという名前の無賃労働者を使わないとサービスが正しく提供
されないのであるとすると、それは他人の労働の上に成り立つ搾取に基づ
く営利行為であるということになる。


家に帰って連れ合いにこの話をしていて驚いた。
彼女が登録しているセンターの一つが最近名前は変わらないものの、この
ナントナク介護センターに買い取られていた。