ほぼ足りてまだ欲 その先

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全部が埋め戻し

かつて自分が働いていた会社が持っている山である。
露天掘りの鉄鉱石の山であった。品位の点でもう外国産の鉄鉱石にとてもかなわなくなって閉山をした。採掘権だけを持っていた会社は国有林の管理者、営林署に返還を申し出たが、露天でひっくり返されてしまった山をそのまま返すのは勘弁して欲しい、埋め戻して欲しいと要求され、ならば売ってくれといって入手したと聞いている。良い時代だったというか、今だったら、きっと「なんで売らなきゃならないんだ」と問題になっただろうなぁ。
 その山は完全に緑を取り戻し、今や露天掘りの跡はどこにも見つける事ができない。人に聞かなきゃ、ここが露天掘りの山で、当時はトロッコが走り回り、ケーブルを使って山の向こうに鉄鉱石を運び出していたなんて、まったく想像できない。バブルの時に、スキー場とゴルフ場を作るといった企業があって、取り付け道路ができちゃったり、電力会社がダムを造っちゃったり、閉山時期よりも、その後の方がこの辺の山をぼろぼろにしてしまったといった方が正しいかもな。白根までヘリコプターを飛ばしていた奴もいた。全くの観光ヘリだ。あの音で、山の中に暮らしていた動物たちは相当なダメージを受けた。おかげで、オオワシの姿を見なくなった*1。その代わりにニホンカモシカ、熊を見た、あるいは彼らの糞を発見したという話を多く聞くようになった。奥の山の餌がかつてに比べて不足しているのではないか、とみんなが噂する。

 この山には硫黄分を含んだ水がわき出ているところがあって、その畔には全国でも非常に珍しい「ちゃつぼみゴケ」という苔が群生している。これは硫黄分を含んだ水際でも平気で自生する。これを写真に取りに来る人が結構いた。その人たちが湿地の中に踏み込んでしまう。良く来ていた頃は、管理人のような顔をして「困るんです!」と云いながら、ゴミを拾うような奴だった、この私。

*1:それだけじゃないんだろうけれど。尤も、あの鳥の存在が確認されるとその営巣地点から半径○km以内は開発が禁止されるんだ、という話をどこからか知らないけれど聞いた覚えがあるなぁ。だから、いなくならされちゃった・・なんてこと、あるんだろうか・・?