ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

怒られた

 その硫黄系水系の他に、もちろん湧き水、雪解け水がつくる水系があって、いくつもの池が点在する。裏を流れる長笹沢川は吾妻漁協が川魚を放流していて、ここはライセンスが必要である。伝え聞くところによると、そこで放流していたやまめの稚魚、よそから持ってきたニジマスの稚魚をこの水系に離した事があるという。20年近く前に初めてこの山に来た時に、一番上流の中池でそんなニジマスの一匹を見た事がきっかけになって、人の来ない5月連休にフライやルアーを投げる事をはじめた。そのうち、もっと魚の豊かな水系にしたくなった。10kmほど離れた養鱒場に行って稚魚を買っては放流した事が2-3度ある。後に環境庁(現環境省)の役人に怒られてしまった。食性連鎖が変わってしまう可能性が大きいと。不覚であった。*1

 10年ほど前から縁あって横浜のボーイスカウトがここをキャンプ地に使い出し、多くのボーイスカウトガールスカウトが入ってくるようになった。ボーイスカウト活動はいつでも使いやすいキャンプ地を探し続けている。今回はボーイスカウトがそろそろ夏のキャンプを終えるこの時期にNPOの自然体験キャンプが入っていた。
最近この種のキャンプの主催者がとても増えている。大学のボランティアセンターにはこうした団体が学生ボランティア募集を依頼してくる。確かに都会の子どもに自然の中で様々な体験をする機会を提供する活動は意味があって、各地でも活発だ。教職課程を取っている学生たちにはボランティア参加が義務づけられている事をご存じだろうか。本当は障害を抱える人たちや、高齢者の人たちのためのボランティアに参加してくれると良いなぁと私なんかは個人的に思いこんでしまうが、こうした分野でのボランティア活動は彼らの間では人気である。それはやっぱり、足を踏み入れやすい、という事があるからだろうなぁ。もちろん、この分野の活動も必要だし、大事だ。
 しかし、問題はその団体がどこまで善意に基づいているかという点にある。これはあらゆる活動にも云える事ではあるが、現在のNPOの乱立が第三者からの判断を難しくしている。これはどうしても迎えざるをえない状況である。現に現場の声を聴くと、中にはこの地をNPO法人が使用する上で金銭的援助を現地に要求してくる輩も存在するという。
 ボランティアを紹介する上でも、こうしたNPOがどこまで善意に基づいているのかの判定が難しい。どうしても実績がある、あるいは実情を知るメンバーがいる、という団体に絞らざるをえない。

多くの善意がこうしてほんの少しの不届き者によって活動を制限されてしまう。

 かつて企業で働いていた時に、この山を使って都会の子どものための活動を提案した事があった。当時はそんな事に企業が手を出す事は考えられなかったし、信頼を得る事のできる法人を作り出す事もなかなか困難だった。それが例のNPO法が制定されてから、多くの活動家が取り組むようになった。こういう点ではあの法制度は確かに吉報だった。しかし、垣根を低くすれば善意の活動家にとって非常に有効なのだが、逆にこの制度を逆手にとろうとする輩にとっても垣根はやっぱり低いわけである。これはこうした子どもを対象とした活動だけの話ではない。あらゆる非営利法人が活動する分野で問題になる。


 「スタディー・ツアー」でも、単なる旅行代理店の企画なのか、非営利で、本当に現地の実態を知らしてくれるツアーなのか、なかなか区別がつかない。

*1:今でもその頃のニジマスが生き残っているらしい。水草が一面に生えている池があって、ここは魚が隠れやすい。かつてもいたのだが、今でも体長40cmを超える、もうすでに腹から顎にかけて婚姻色が立派に出て、顎のしゃくれたニジマスがいるという。こうなるとニジマスが立派に鮭の仲間である事を見て取れる