ほぼ足りてまだ欲 その先

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余市は台風被害に揺れていた

 7-8年ぶりの余市には赤井川村から冷水峠を越えてたどり着いた。この冷水峠は10年ほど前に徒歩で越えたことがある。高校生たちと一緒に父兄たちも全国から集まって歩く。この私も30kmを完歩した。赤井川村から冷水峠にアプローチするとだらだらと広い道をどこまでも続くかと思われる登りに辟易しながら登った記憶である。ところが、車で通りかかると、それはただ単なる一車線の舗装道で、あっという間に峠を越えてしまう。徒歩で峠にたどり着いた時には振り返ると羊蹄山がはるかに望むことができて、あぁ、北海道だ、と感動したものである。しかし、そのLookout Pointもあっという間に通り過ぎてしまってびっくり。しかも、台風でそこら中の木立がぼきぼきと折れており、その処理のために切り落とされた針葉樹の香りが辺り一面に充ち満ちていた。
 久しぶりにお会いした元北星学園余市高校の伊藤先生は相変わらずお元気な様子で、お母様も今年89歳で健在だった。先生は退職後畑をやっておられると云うことだったが、あの台風でブドウ棚が全滅。農協からはボランティアが三日間手伝ってくれるという情報があったが、都合が合わなくて、そのままになっているという。余市の林檎はほとんどが収穫前に落下。まったくどうにもならないという。
 おなじく北星学園余市高校で先生をされていた安達先生は今、マスコミにも取りあげられていて、テレビドラマにもなったし、今度は映画にもなるという義家先生の高校時代の担任先生。各地から招かれることが多く、この夏はバンクーバーまで出かけたという。現在は余市NPOを立ち上げて、ひきこもりの青年たちの拠点を主催している。ここでも、周りの立木がぼきっと折れていて、台風被害の大きさを忍ばせる。立ち上げて2年目になる椎茸のハウスが台風で飛ばされてしまい、その修理には一棟あたり200万円という費用がかかるという。自然の驚異とはいいながら、泣くに泣けない状況。
 安達先生のところで、落ちてしまった林檎をいただいたが、やはりまだ早くて、とても酸っぱい林檎だった。
 この閉塞感一杯の社会の中で、行く先の見えない状況に陥っている青年たちの状況はかなり難しい。現場で彼らに直面し、彼らに真正面から取り組む人たちをどのように支援していくことができるのかと考えてしまう。