ほぼ足りてまだ欲 その先

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学生の満足度

 今週のAERAは1.5万人に調査したという「全国大学満足度ランキング」を掲載している。総合的に云って国際基督教大学(ICU)と津田塾大の評価が高い。私は男だからというのもあるけれど、津田塾大についてはまったくその中身を知らない。ICUについてはホンの一年間だけだけれども、一年生を過ごした経験があるので、この記事の中身を素直に読むことができる。
 ICUでは一年生は最も英語のグレードの高いグループは別として、普通の学生は三つのセメスターを通じて、英語以外の教科は必修科目以外に各セメスターごとに専門教科を1-2教科程度しか取れない。登録前に担当の先生に話して納得して頂いても、教務課がそれ以上の科目をとることは止めさせる。それほど英語の授業に集中しないとついて行けないのだ。私は何回も徹夜をした。
 だから、その英語と体育以外の授業には本当に真剣に取り組む。席は前から埋まる。その席は机状の小さなプレートがくっついている椅子である。できるだけそれに座って、前に詰める。わからなければ、その場で先生に手を挙げて質問するのが当たり前で、学生の疑問に対して先生でなくて、他の学生が手を挙げて答えることすらある。
 英語の授業でジャーナルやエッセーを書かせ、そのために資料を手に入れる方法を教える。授業によって指定された図書は縛りがかかって3-4日での返却を要求する。授業が終わるやいなやその中で参照された図書を求めて図書館に駆け込む。そうしないと直ぐには手に入らない。
 他の大学の学生は大学の4年間は勉強だけするためにあるわけではないとICUの学生を揶揄する。もちろんICUにもそういっている学生もいる。しかし、他のことはそれから先でもできるけれど、こういう環境においてとことん調べ、知ることのできる時間はこの時しかない。いや、そう断じるのは独りよがりも甚だしい。少なくとも「私にとっては」そうであった、というべきであろう。そして、この学校にはそういう決意で過ごすに十分な環境がある、ということである。
 しかし、そのためにはきちんと代償を払わなくてはならない。その学費は決して安くはないのである。
 私は専攻する分野をその一年間の途中で変え、少しでも早く専門に入りたくなったので一年生を修了したところで、転校した。それで学費は7割に減った。
 しかし、その分図書館にはほとんどリファレンスの機能はなく、貸出冊数は1/4となり、開館時間は短く、なによりも全ての図書が開架保管とはなっていない、という状況になってしまった。最も大きく異なったのは(鶏と卵の関係と云うべきだろうけれど)いかに学生が調べやすいように運営するかという姿勢に対して、いかに学生の不正から図書館を護るかという姿勢にある。この違いは決定的に大きい。そして、職員が学生に対して常に警戒心を持って接している。だから、学生の方も「対決」という姿勢を見せる。また、学生の側がずるさを見せると職員は騙されまい、とする。
 私が転校した学部そのものの姿勢は非常にファミリアであるにも拘わらず、全学レベルの感性にある職員の考え方は、そんなファミリアな学部の雰囲気を一挙に粉砕してあまりあるのが、残念である。打開策はなんだろうか。
 こうした議論を学校は求めていない。残念ながら事業としての大学と、学習と研究機関としての大学の違いは大きい。