ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

60年後の日本兵

 なかなかご本人たちの確認がとれていない。仲介者はどうも日本人ではなさそう。一挙に100人を超えるマスコミが集結しているらしい。地域は反政府勢力の勢力範囲だという。この二人の元日本兵の生存情報は昨年10月には情報がもたらされていたという。にもかかわらずなぜ半年間そのままになっているのかについて「毎日新聞の記事」でようやくわかった。

 自分の意思ではなく、やむをえない事情で帰国できない場合には、未帰還者留守家族等援護法で「未帰還者」と位置づけられる。そうなれば、本人の意向を聞きながら、帰国の手続きや帰国後の健康管理などを行うことになる。だが「27日現在、2人の身元は確認できておらず、本人の意思で滞在していた可能性もある。それがはっきりするまでは、外務省の邦人保護業務に当たる」というのが、厚労省の考え。

 つまり、現時点では単なる外国における邦人保護レベルにすぎないということである。例えば、米国に生活している日本人がなんらかの困難に遭遇している時に外務省(この場合は現地公館だろうし、彼らが多くの単なる日本人市民を歓待するとは思えないけれど)は保護にあたることにはなるが、厚労省は当面なんの関係もないのと同じということだろう。
 そしてこの二人の元日本兵が「自分の意思によって帰国しなかったのか」という点は検討されることになるのであろう。しかし、もし、この方々が「自分の意思」によって帰国しなかったとしても、戦後60年経ち、齢(よわい)80歳を超えて、やはりふるさとで死にたい、ふるさとの畳を踏んでから死にたいと思ったのだとしたら、厚労省はどうするのだろうか。これもやはり「自己責任」として”あなたは一度その時点で帰国しないという選択肢を選んだ”といって否定されるのであろうか。例えば国際結婚をして他国の市民となった邦人が高齢となって一人になった時に、やはりふるさとの畳の上で死にたいと思ったとしても、それを法が阻止するのだとすると(現実としては非常に難しい)これもまた「自己責任」として斬られる結果となるのであろうか。それはちょっと違うのではないだろうか。
 上記で引用した毎日新聞記事はなぜ多くの元日本兵がタイ、フィリッピンベトナムインドネシアに残ったかについても触れている。

「戦争に負け、武装解除されても所属部隊はあった。そこから離隊したわけで、胸を張って帰れない」。旧日本軍では、戦線・部隊離脱は軍法会議にかけられる可能性があり、ミンダナオ島の元日本兵も、それを恐れたことも考えられる。
(中略)
「広島、長崎に原爆が落とされ、廃虚となった日本に帰っても仕方がないと思った」というあきらめや、「日本への帰還船が爆撃されるかもしれない」という戦争後遺症による恐怖感から、現地残留を選んだ元日本兵が見られた。

 こうした日本兵たちの中には現地にとけ込んで独立運動に協力した人たちもいたといわれている。ベトナムでは南北に分かれてそれぞれに協力した人たちもいたとさえいわれているという。