ほぼ足りてまだ欲 その先

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宮崎勤

 死刑が確定した宮崎。最高裁の判決文朗読はたったの2分だったそうだ。雑誌「創」3月号で編集長の篠田博之が宮崎との書簡によるやりとりを掲載している。同じく雑誌「論座」では作家の佐木隆三とその篠田博之が対談している。どうもあの判決後のテレビ番組やその他を見てくると彼の犯罪動機を「性的好奇心」とするのはあまりにも違和感があるような気がする。「創」の記事にも出てくる東海女子大の臨床心理を専門とする長谷川博一先生は、テレビの中で彼の原点はやっぱりあの優しかった「おじいさん」なのだと分析していた。そのおじいさんとなんの心配もないあの頃に帰りたいという潜在意識、と語っていた。犯した犯罪は間違いがない。しかし、こうして斬り捨てる社会はどこか丁寧さが足りていないといえるだろう。と、いうのはこの事件をこんな具合に決着させてしまうと(判決は変わらないとしても)、これから先、こうした犯罪者のバックグラウンドをフィード・バックすることなく進む世の中は自らの後ろ姿を検証することを否定していくからだ。いかにも現在のこの国の文化、そのものといえるのかも知れない。将来、この時代をリビューした時に、こんな乱暴なことをしていたんだね、近代国家といえでも、こうして何度も文化をぶち壊してきた歴史は珍しいね、といわれるんじゃないかと思う。