ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

 忙しくバタバタ仕事をしているところに職場の女性社員(どうも昔働いていた会社のようだ)が「10階の高橋部長がお呼びです」という。10階?全く縁がないフロアーだけれども。10階に下がるエレベーターに乗るとただボタンを押しても付かない。昔どこかで乗ったホテルのエレベーターが部屋のカードキーを差さないとボタンが作動しなかったように。そこに乗り合わせた若者がカードを差して押してくれた。その若者がこちらを振り向くと学生服を着たまだ中学生のような顔をしている。
 10階でエレベーターを降りると知り合いの男が歩きながら「どこかに呼ばれたの?」と聞く。彼から聞くまでもなく、その時に“あ、異動の話なんだ”と納得する。
 フロアーに入っていくと、床にコートのような物が拡がっている。なんでこんなところに置きっぱなしになっているんだ、と思ってそのコートを拾うと、そこには背丈のとても低い福禄寿のおじいさんが倒れていた。眼を開けたので「動いちゃダメですよ!」と叫び、横の女性社員に「クリニックを呼んで!」という。三階のクリニックのことであるが、彼女も分かったと頷いて受話器を取る。
 そんな状態なのに、傍の大きな机に向かって、革張りの黒の椅子に座って、目の前に散乱といっても良い状態に書類を拡げている初老の良く鍛えられた感じの男に聞く。「高橋部長はどちらですか?」。するとそのおじさんは昔良くいた酒とタバコで焼けたようなだみ声で「俺だ!」という。「C-Bのパイプラインは進んでいるのか?」と聞くのである。“なんだ、異動じゃねぇのかよ”と思いながら「えぇ、現状ではそのまま進んでいます」と答える。その高橋部長なるものの机には「不定期船部長」としてある。“なんで俺は船会社に勤務しているんだろう。それにしてもこんなこと電話一本で終わるだろうに、なんだ異動じゃないのか“とがっかりする。しかし、どうもニューヨークに駐在なんだと心のどこかで思っている。
 一旦テラスに出ると、そこは冬の午後の陽射しがあたっていて、リスが足下に近寄ってくる。“へぇ〜、東京でリスかよ。尤もセントラル・パークにはそこら中にいるだけれど”と見ている。セントラル・パークなんて行ったこともないのに。
 眼が覚めても、なんだかまったりして起きあがらずにいたらうちのリスならぬ猫が近寄ってきて、餌をくれと起こす。そういえば夢の中のリスも手を広げながら伸びをしていた。