ほぼ足りてまだ欲 その先

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万座温泉に行く

 この地で働きだしてから10年ほどになる友人が休みの日だというのでその夫婦と温泉に行く。これがこっちに来る楽しみのひとつである。
 その前にかつてよく遊びに行った群馬県六合村に行って、そろそろ仕事を辞めるはずのお世話になった人に挨拶しようと云う話になり、弁当を買っていざ草津から六合村に向かおうとすると途中の道が崩壊していて遠回りをしろと書いてある看板を発見。多分今年の豪雨で谷に鉄砲水が発生した可能性が考えられる。元に戻り、しょうがないから草津の道の駅で昼飯を使う。クラブツーリズモの印を付けた人を満載したバスが休憩に降りてくる。多分白根を越えて志賀高原方面に行くのではないだろうか。雨模様の白根ルートはこちら側は霧で全く視界は聴かないのに、峠を越えると途端にくっきりと見えてくるのには驚く。
 万座の日帰り風呂が大変に趣があると友人が云うので一路そちらへ。私は万座といえば、西武鉄道系の万座プリンスホテルしか知らないし、来たことはたった一度しかないし、その時どこに泊まったのかの記憶すらない。
 「日進館万座温泉ホテル」(ツムラ温泉科学プロジェクト「テーマ別ベスト10温泉・雪見のできる温泉の回で第7位)というのがその目的地である。万座も白根から繋がる硫黄の吹き出るところだから、ここも白濁の硫黄泉である。この宿はもとはといえば谷底の湯治場だったようで、一番下にその最も古い建物が今も残っていて、そこにも風呂がある。どうやらこの一番古い木造の建物は一度鉄砲水で埋まってしまったらしく、今は風呂だけ使っているような気配で、取り壊しも噂されているらしい。この建物が多分最初の湯治場としての施設だったのだろうと想像する。脱衣場があるだけで、洗い場もなんにもない。それでも白濁したお湯は気持ちがよいからそれだけで満足する。そこから少し上にもう一つの露天風呂がある。こちらも硫黄のお風呂である。なんでもつれ合いが一緒になった方のお話によれば昔はやっぱり湯治場として滞在したのだそうで、その方は一ヶ月間そうして滞在していたことがあるというお話だったのだそうだ。そりゃもちろんお金持ちだからこその話なんだろうけれど、昔の温泉場はそうしたものだったことを良く聴く。自分たちで自炊して滞在していたと云うことも。山梨の積翠寺温泉でもそんな雰囲気をかつては見たことがあった。
 そして一番上に新館の大きな風呂がある。ここも木造の太い柱で支えられた結構趣のある風呂である。この一連の風呂に一番下から入ってはまた服を着て登り、最後は上まで上がってくる。全部入り終えるのに多分2時間半くらいを費やしていたような気がする。下から上がってくると一番上の露天風呂から下を眺めている人が丸見えだ。「お願いですから、見えないようにしていてください!」と口に出す。聞こえないように。
 昔、子どもの時から親に連れられて箱根の硫黄泉にいっていた私にとっては澄んだ湯よりも硫化水素の匂いのする白く濁った風呂の方が温泉の気分が出る。
 ここには東京駅の八重洲口、鍛冶橋の駐車場からバスがやってくる。宿泊とバスのセットになっているらしく、トイレの付いていない部屋とのセットだと7日間で2食つき2名利用で、一人あたり43,750円だそうだ。
 すっかり温泉を堪能して友人夫妻の家に帰り着き、餃子鍋をつつく。