ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

漣健児

 随分と話題になっただろうから知っている人もたくさんいるだろう。シンコーミュージックの社長だった漣健児の訳詞の数は数えるのも大変なほどの数に上っているし、そのジャンルも広い。スリー・ファンキーズの「浮気なスー」もそうかと思うと越路吹雪の「別離(わかれ)」もそうだし、「真っ赤なお鼻のぉ、トナカイさんはぁ〜」もそうらしい。で、昨年漣健児が死んでからと云うもの、そのトリビュートものがたくさん出ているのは前にも書いた。とうとう、Amazonから二種類買ってしまった。こっちは東芝EMIが出した2枚組でなんと収録曲は50曲である。尤も当時の曲はレコードの収録時間制限があるから軒並み3分を切る。だから多分全部で120分台だろう。もう一枚はテイチクが出した「漣健児ソングブック」で全26曲である。この中には「赤鼻のトナカイ」も入っている。両方を比較すると同じ曲なのに唄っている歌手が異なる。当時は競作だったのだろうか。「ルイジアナ・ママ」は飯田久彦でしか聴いたことがないのに、テイチク盤には久保田麻琴という名前の歌手が唄っている。こちらで面白いのは「別離(わかれ)」を長谷川きよしが唄っており、なんと「朝日の当たる家」を和田アキ子が唄っている。この歌詞は原曲とは全く異なる歌詞なんだけれどまぁ、雰囲気としては良いかなぁと。おやじがギャンブリング・マンだったというのは一体何時出てくるのかと思ったら結局出ては来なかった。ジャガーズのダンシング・ロンリー・ナイトは訳詞ではないが作詞:漣健児、作曲:鈴木邦彦だという。「♪昨日の恋は忘れて 昨日のあの娘は忘れて 踊り続けていたい夜なのさぁ〜」である。

「赤鼻のトナカイ」
You know Dasher and Dancer
And Prancer and Vixen
Comet and Cupid
And Donner and Blitzen
But do you recall
The most famous reindeer of all

ここまではバースで、日本ではほとんど唄われていない。どうして日本の唄になるとバースというものは無視されてしまうんだろうか。「想い出のサンフランシスコ」(I Left My Heart in San Francisco)でも日本ではバースはあまり唄われていない。ブレンダ・リーが彼女の録音で唄っていないのも不思議だ。制限時間を超えてしまうからだろうか。「サンフランシスコ」のバースはトニー・ベネットを聴くと覚えることができる。

Rudolph, the red-nosed reindeer  真っ赤なお鼻の Had a very shiny nose. トナカイさんは And if you ever saw himいつもみんなの You would even say it glows 笑いもの
All of the other reindeer でも その年の Used to laugh and call him names クリスマスの日 They never let poor Rudolph サンタのおじさんは Play in any reindeer games 言いました
Then one foggy Christmas Eve 暗い夜道は Santa came to say ピカピカの "Rudolph with your nose so bright おまえの鼻が Won't you guide my sleigh tonight?" 役に立つのさ
Then all the reindeer loved him いつも泣いてた As they shouted out with glee トナカイさんは Rudolph the red-nosed reindeer 今宵こそはと You'll go down in history! 喜びました〜

 細かいことをいうと一行一行では全く一致しないものの、概ね曲全体としてはその意を表していて、こりゃ凄いなぁと思う。霧のクリスマス・イブなんてどうでも良いものなぁ。「今に見てろ〜!」物語なんだけれど、霧の日がなかったらルドルフは救われなかったんだろうか。それとも、他の理由を見つけてサンタ・クロウズはルドルフを救う手だてを考えたんだろうか。ま、それはそれとして、昔の歌詞は今みたいに大幅字余り状態を是としていなかったからこんなに短い言葉で表さなくてはならなかったわけで、そりゃ大変だったわなぁ。それにしても60年代のこうした曲を聴くと曲作りそのものは結構稚拙だし、途中に挟まる英語の発音はどうしようもないし、楽器も下手だし、やっぱり聴いていられなくなる。