ほぼ足りてまだ欲 その先

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中間まとめ

 「国民の意見募集:2006年10月27日から12月31日まで、内閣府ホームページ等にて「イノベーションでつくる2025年の社会」について幅広く国民から意見を募集したところ、合計385件の意見が寄せられた。」

と書いてあった。一体私は日頃どこをネットでうろうろしているのだろうか。全く知らなかったのである。
 昨日参議院予算委員会での質疑を聞いていて、「イノベーション25」なんてものが進んでいて、中間まとめが出ているというのを知った。野党の議員が「大学生のレポートみたいな」と表現したら安倍某が激昂して「失礼じゃないですか!」と云ったあれである。PDF化されていてダウンロードすることが可能である。全編で87頁。担当大臣が「序」を書いている。「あんたはカッとなると横文字乱発するよ」と連れあいから常日頃批判されている私の目から見ても明らかに横文字連発、乱発であるが、なんせ途中で「日本の大学教育は日本語一辺倒で」と批判されているくらいだから、これくらいのものなんぞ何するものぞ、ってなことなんだろうと思わにゃならんて。この担当大臣の「序」からしてまずなんとも困ってしまうと云っても良いかも知れない。この辺から怪しいかも。彼女は(あ、担当大臣というのはあの高市早苗である)ごく当たり前の事項の羅列の中に一部の人たちの意見に迎合した言葉なんかをチラチラと交ぜてある。全部そっち系だというわけではなくて(それほど愚かではない)概ね、誰もが反対できない言葉を並べておいてその中にちらっと混ぜるのである。その辺は大学の一・二年生よりは狡猾である。
 なんともはや、どうしたらよいだろう、この際これも読むのかよ、といわせるのがこれに続く「伊野辺(イノベ)家の人々の1日」なんだよなぁ。すまん、これを終わったところで、とうとう私は放り出した。たった20年後に国民全員がこんな大金持ちの生活になっているはずがない。今の内閣のていたらくを見ていて、そんなことがたかだかこれからのtwo decadesで(あ、興奮しているかも知らん)実現されると思うほどノー天気ではあり得ない。ここまでで27枚が過ぎた。
それもこれも座長が書いておられるように

数々のイノベーションの歴史に共通しているのは、イノベーションの出発点には、「一見不可
能とも思える高い目標」、「困難に立ち向かいそれを現実のものにしようとするチャレンジ精神
旺盛な人」、そして「高い志を持った人たち」が存在していたことである。

ということなんだそうだ。私はここで、懐かしくも星新一を思い出した。昨日のNHKBS世界のドキュメンタリーで英国チャンネル4の作品の中で研究者が語っていたように前頭葉の発達はこれまで考えられていたよりも成長後も発達することがわかったし、時代を比較すると近年になればなるほど前頭葉は発達してきているのだとはいえ、この20年で大きく変わるとは思えないから、この前提条件はよろしいのではないかと思う。思うけれど、この前提を「まさにここに焦点はある、必須だ!」と振りかざすと、下手をすると優生保護の世界を招きかねないという危険性をこの発想には含んでいるのだと意識しながら読まなくてはならないと思う。
 もう一つ用心が必要だと思うのは、端々に取り上げられる「先進各国」という言葉である。大変に危険なことはこうした時に様々な形態がある「先進各国」の状況を十把一絡げにして小泉時代にも多用してきた米国の新自由主義的な形態を取りだしてしまうと云う傾向である。
 それにしてもかの野党議員(もう誰だったか名前を想い出せない、歳だなぁ・・・)がいうように、大枚87枚をはたいているにしては、前半分はここになくても良かったようである。次の1/4は星新一にでも頼めばすぐに出てくるような話。ここまで来て、「私たちが目指す2025年の日本の姿」の最初の項目「生涯健康な社会」を読んで、もうすっかりここから先を読む気を失ってしまった。「再生医療技術、高度介護ロボット、対認知症特効薬などのおかげで、いわゆる「寝たきり」病人は激減し、家族や介護者の負担も激減する。不慮の事故による負傷者や急病人は、整備された緊急医療情報ネットワークの下、24時間体制の地域密着型緊急医療施設へ迅速に搬送され、生命の危機を免れる。」としてある。そのための原資はどうなるのか、今この時点ですら国保の存立は非常に疑わしくなっており、保険システムそのものがこのままでは保持できなくなる可能性がとても高い。結果として米国と同じように米国系の民間疾病保険に頼ることになり、低収入世帯は斬り捨てられる可能性が高い。昨日も小池の質問に一般論でしか答えようとしない状況の中で、これは絵空事にしかなり得ないのではないだろうか。立ったの20年間である。私はもういないだろうからどうでも良い。安倍ちゃん、君は確実に生きているけれど、金があるから構わないわけだね。
 多分一定資産を持った人たちの「表の社会」というものが彼の頭の中にある「社会」であり、それを機能させるための「裏方としての社会」というものがきっと彼の想定の中には存在しているのではないだろうか。そうでないと、これだけの困難を無視してたかだか20年の間にこんなものを実現すると真剣に考えているとは思えない。
 もう、ここで残りを読むのはやめた。眠いから。せめないで頂きたく。