ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

 私は極度の高度恐怖症をもってにんじている。なにしろ、ちょっと長めのエスカレーターなんてものに乗るともう前屈みになってベルトにしっかと捕まらないと後ろに反り返ってひっくり返っていってしまうように感じるのである。それなのに連れあいはそうしたことになんの恐怖も持たないどころかできれば、チャンスさえあれば何回でもあの種のものに乗ってみたいと思っている類に属する。一度一緒に熱気球に乗るという場面になってしまったことがある。確かに、高いところから地球を見下ろすとその丸みを帯びた地平線を感じることができて相乗り地球号を感じることができるというものである。しかし、例えば東京タワーの床に切ってあるガラスの小窓から下を見たりするともう後ずさりをし、お尻から下半身にかけてゾクゾクしてきて我慢できなくなる。それなのに、テレビのニュースでグランド・キャニオンにガラス張りの見物通路ができたという話を聞いてあぁいやだいやだと思っていたのがいけなかったのか。気がつくと、背の高い崖に囲まれた湾のビーチを私はその延長線上の崖の上から見ている。一緒に見ている誰かが「ほらほら、あっちからも誰かが見ているよ!」というので崖の縁によると、なんとそこには全く生け垣もフェンスもガードレールもなんにもない、只のむき出し崖の縁なんである。覗き込むと遥か下に海の波がビーチに押し寄せている。その全体の景色がくっきりとフォーカスがぴったんこであるのが余計に恐怖を煽る。あぁ、いやだ、いやだと思って眼が覚める。