ほぼ足りてまだ欲 その先

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裏口制度はどうなるのか

今朝のNikkeiNetが下記記事を伝えている。

 政府は10日、不正な低賃金労働などが問題となっている外国人研修・技能実習制度の改革案の骨格をまとめた。実習指導員の配置や帰国前の技能評価を企業に義務付けるほか、現在は労働者と見なしていない研修生も最低賃金法など労働法令の適用対象とする。法的保護を明確にし、実習などの目的に沿った外国人労働者の円滑な受け入れにつなげたい考えだ。(2007.05.11 07:00)

 明確にレクチャー、あるいは文書配布発表記事だろうか。出来るかどうかわからないけれど、詳細を検討する必要がある。「研修・実習」ビザはこれまで明確に労働搾取のための裏口外国人労働者導入制度であったわけだけれど、これをあっけらかんと何の社会的追求もなしで、「不正な低賃金労働」と表記して終わらせてしまうところがやっぱり問題。実習指導員の配置がこれまで必要とされてなかったのだとしたらとんでもない話だし、そんなものは通常の現場の棒心の存在でなんら現場に変化はない。帰国前の技能評価もどんなことでも表面を繕うことは出来る。このビザでこれまで一番問題だったのは、研修生に対して純粋に労働をさせ、そして賃金レベルのものを支払わないだけでなく、その一部を強制預金としたり、旅券を預かったりして逃亡されないようにしてきた人権的な問題が頻発していたことである。いくらあとからほころびを繕ったとしても、元々ボロボロな制度を続けていくのであれば、根本的解決にはならないだろうことは誰もが認識している。おいしければどんなものでも支持するという姿勢は情けない。河野太郎はこれを「いかさま制度」と云っている。
 朝日新聞を見てびっくりした。この報道はどうやら朝日新聞のスクープのようで一面トップに書かれている。つまり、厚労省有識者による研究会が今日の会合で示す中間報告案の中に記載されている内容のようである。研修制度を廃止し、技能実習生をこれまでの2年から3年に延ばし、一度帰国すれば再度実習生としてもうあと2年滞在することが出来るというシステムを提案しているという内容である。つまり、研修を経て初めて実習生として実際の労働に準ずる形で働くことが出来るという建前を全部捨ててしまって、研修なしで実習する、ということになる。なんとポリシーに欠ける朝令暮改案であることか。なんだかんだと後付の理由はいくらでもつけられる「実習生」制度であって、明確に外国人労働者の受け入れのための滞在許可以外の何ものでもない。ならばなにゆえきちんと表扉を開けた制度への検討をしないのか、という点が不思議である。研修・技能実習生の制度が立ち上がった時、5省が管掌していたはずである。厚生省と労働省は一緒になってしまったけれど、建設省通産省法務省のうち旧通産省がいっている「本来の目的である技能習得が難しくなる」というのは裏に何があるのかわからないが、本来的には正しい反応だろう。
 この制度も人材派遣法と同様にジリジリ変更されて雇用者の利益になるようにどんどん変更されてきている。狡猾な利益法人のロビー活動を被用者は見張って行かなくてはならない。
今日の「第9回研修・技能実習制度研究会の開催について」が厚労省の「研修・技能実習制度研究会」のサイトにアップされたのは9日のことであることを発見。本日午前中に厚生労働省職業安定局第1会議室において開かれたはず。