ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

森銑三(せんぞう)

書誌学研究の第一人者なんだそうで、この人が明治時代の新聞、雑誌から気になる記事をとりだして集めたものが東洋文庫から「明治東京逸聞史その1&2」で出版されていた。書誌学といえば今や知らぬ人もいない「りんぼう先生(林望)」なるものの専門が書誌学と聞いて初めて知った学問なり。今この書物は平凡社から東洋文庫の中の一冊として出版されているが、どうやらこちらeBookにもなっているようである。私はたまたまある図書館から廃棄本として放出されたものを入手した。そういうチャンスがある時に東洋文庫を見つけるとためらいもなくなんでも手にするという習慣になっている。そして、この本は一生手にしなくても困らない内容ではあるが、知ってしまうと第三者に「君はこんな話を知っているかね?」と語りたくなるという誘惑を全部の頁から発しておる。
 例えば(ほうらもう始まった)、明治東京逸聞史2(昭和44年(1969)7月初版 平凡社)(私は第一巻を所持しておらないのであるが)の207頁にこんな記事がある。

大学卒業生(東京経済雑誌39.1.27「漫録」 大学を卒業するまでには、かなりの資本を要する。今日では月々百円くらいかかる。私立大学よりは、官立の方がかかる。第一、月謝が私立より高い。だから卒業生の口を捜してやらなければ、文部省としても、学生への義理が悪い。それでその世話をすることになり、官吏としての文部大臣が捜してやるのだから、勢い官途に採用されることになる。---- 今では実際が、その反対となっている。

 これを読んで目がまん丸となった次第である。