ほぼ足りてまだ欲 その先

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このままだと

 2007年11月に独立行政法人から財団法人になった総合研究開発機構が2007年11月〜2008年3月に行った研究報告書「就職氷河期世代のきわどさー高まる雇用リスクにどう対応すべきか」を発表し、その中でリサーチフェローの辻明子氏が下記のように記している。

 非正規雇用者や無業者は、所得も少なく、また老後生活資金への準備(公的年金 への加入と納付)も十分に行えていない。これは、潜在的老後生活困窮者の割合が増加していると考えることができる。 そこでここでは、彼らが生活困窮となり、生活保護というセーフティーネットの最後の砦に頼るとどのくらいの社会的扶養負担(生活保護受給額総額)がかかるのか、検討することとした。
就職氷河期の人々について、働き方の変化(非正規の増加と、家事・通学をしていない無業者の増加)によって生じる潜在的生活保護受給者は77.4万人、それが具体化した場合に必要な追加的な予算額累計約17.7兆円~19.3兆円となる結果が導き出され、これが現実となれば社会的にも深刻な影響を与える規模てあることが予想される。

 これは簡単な話ではない。それでなくても社会保障費の占める割合は増加するだろうことが予測されている。システムとしての日本社会の作り方の失敗だと云っても良いだろう。企業社会を成立させるためにそのような雇用形態を蔓延させ、なんのために社会が存在するのかを認識することを忘れてしまったという尊厳を失ったがゆえの事態であると思っている。ではこれを回避することができるのか。ひとつはこの事態に備えて原資を今から積み立てるという方法が考えられるけれど、今の財政状態では現実的とは考えられない。もうひとつは将来的にこのような状況から少しでも生活保護を必要とする人口を減少させる努力をするということだ。そのためには雇用機会を拡大していくしかない。オランダ式の分業システムを確立していく方法がなぜ日本では採用されないのだろうか。それは企業側の負担をびた一文増やしてはならないという財界と政界との了解事項がひろく適用されているからに他ならない。現政権を担当する保守連合は現状をそのままにしておいて将来の日本を「ぶっ壊す」のだろうか。それとも政権を逸する危険を回避して梶を切るだろうか。