ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

本質はなんだ

 インドネシアから看護師、介護士を目指す人たちが次から次に日本にやってくるんだという。そのニュースを伝えるに際して「日本は資格、資格と云ってこうした人たちの受入に際してきついことを言い過ぎる」という論調がある。フジテレビのモーニング・ショウでもそういっていた。こういう切り口で云われるとがっくり来る。
 しかも現場の声としてとっているコメントが「日本ではすでに介護の仕事に魅力を感じてもらえないから外国人にたのむことになる」というものだった。
 何よりもかによりも、まずその大前提として「介護の現場での労働対価があまりにも安すぎる」という現実があることをなぜ説明しようとしないのか。介護の現場をあまりにもないがしろにしてきたからこそ、現場に入ってその仕事を続けてくれる人たちにその継続を諦めさせてきたことを棚上げにして、目の前の利益追求のことしか頭にない現場の経営者、そしてそれを強いる厚労行政の責任をなぜマスコミは追及しないのか。厚生労働省のしたり顔のキャリアのひとりひとりをつまびらかにするべきだし、その提灯を持って歩く御用学者の諸兄には猛省を促したいが、この程度のことで反省するような輩はこんなことをしてはいないだろうなぁ。
 これからの問題点は二つある。
 ひとつは彼らが一定期間の間に日本の資格試験に合格しないと帰国を余儀なくされるというシステムである。これによって起きることのひとつは不合格者は対日不満を抱えて帰国することになるし、あるいはそんな状況で帰国するわけに行かないからと不法滞在者になる可能性もあるということだ。つまり、このシステムには例の「研修」「実習」ビザの臭いがする。
 そしてもう一つは介護労働現場の給与水準が彼らへの給与水準でとどまり、なおかつそのシステムが介護労働のアン・フェア・トレードに基づいているという点にある。
 フジ・サンケイ・グループのスタンスがどこにあるのかを知らない人ばっかりが読者、視聴者なのかも知れないが、そして、この国のエスタブリッシュメントにくっついていれば利益追求が楽なのかも知れないけれど、それでこの国を間違った方向に持って行くことこそ間違っている。日本国民を馬鹿騒ぎの中に放り込んで真実から目をそらすことに邁進しているマスコミは自ら公器といえるのか。