ほぼ足りてまだ欲 その先

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アイスランド 英国

 アイスランドの金融不安は大変なことになっている。なにしろあの国の政策金利は10数%にものぼっていたものだから海外からの個人名義の銀行預金も相当な数に上っていたらしく、英国で大騒ぎになっているようだ。英国政府は個人名義の預金を保護すると発表したらしいけれど、それでは法人が不満を持つようで、英国の首相Gordon Brownは苦境に立っているらしい。それにしても人口僅か32万人にも満たない国にどうしてそんなに投資(預金は投資ではないけれど)意欲が湧いていたのだろう。アイスランドといえば羊、そして氷河、火山、鱈、という発想しか出てこない。確たる資源があるとは思えないのに北欧の一国らしく高負担高福祉国家であるのは変わりない。学校も医療も全て税で賄われていると聞く。ただし、医学を志す学生は殆どが外国で学ぶという。なぜかというと臨床研修のチャンスが圧倒的に少ないからだというのである。絶対的な人口が少ないということがどういうことなのかをこれを聞くまで私には想像できなかった。
 アイスランド地熱発電水力発電だけで自国内で消費する電力を遙かに上回る発電量を持っていて、積極的にカナダのAlcanのようなアルミ企業の精錬工場を受け入れたりしている。しかも地熱発電は全体の発電量の3割にまで達していて残りはほぼ全量水力発電である。
 ここらあたりにゴールドマン・サックスをはじめ各国のファンドが投資意欲を示してきた理由があるようだ。その上、人口の三分の二が居住するレイキャビック地域ではほぼ全ての家庭に近郊で産出する温水が給湯、暖房用に供給されていてそれも無料だというからエネルギー利用法としては理想的といえるほど恵まれている。ただし、その代償は結構大きい。随分昔の話だけれど1783年のラキ山の大噴火では当時のアイスランドの全人口の三分の一にあたる12,000人を失ったという。今年の5月29日にも大きな地震が起きたというニュースが入ってきた。
 その地熱発電施設には日本の三菱重工がスチーム・タービンを輸出していて最新鋭の発電所が建設されている。同社はドイツ企業とコンソーシャムを組んでターン・キー契約しているそうだ。レイキャビク電力会社の発電ラインは完成したばかりで、増設工事も進んでいるのではないだろうか。MHIの契約は一体どんな条件になっているんだろう。人ごとながら気になる情勢になってしまった。
 これからまさに冬を迎える北緯60度の島国はどんな冬を迎えることになるのだろうか。尤も、人ごとでは終わらなさそうだけれど。