ほぼ足りてまだ欲 その先

「ほぼ足りてまだ欲」がはてなダイヤリーの廃止にともないこちらに移りました。

橋下のアジ演説、麻生の幻想、東京都公安条例

 堺市大阪府立大を会場にしての府民討論会「大阪の教育を考える」というのがあったのだそうで、そこで橋下の発言に対して反論ヤジを飛ばした傍聴者に対して「「こういう教員が現場で暴れている」「(日教組批判などで国土交通相を辞任した)中山成彬前大臣の発言はまさに正しい。これが教育現場の本質」と述べる一幕があった(2008年10月27日00時33分 読売新聞)」そうだ。
 テキストだけで読んでいたときは彼らもやり方が下手で、橋下のやり方にまんまとはまってしまっているなぁと思っていたのだけれど、テレビの報道ではよくわかる橋下のあのムキになった態度や、「どこの会社に社長の方針に従わない社員がいるというのか」という彼のスタンスの根本的な問題点を見過ごしてしまいそうだ。彼の論理なら東京都が君が代、日の丸に対する教員の不当処分も当然ということになる。
 けれどこうした小さなポイントならどうでもいいやと見過ごしていくと、それがある特定社会への道に繋がっていく。そんなはずないだろうという声はどこにでも転がっているのだけれど、気がついたときはもう遅いという状況にこの国はなりやすいことを忘れたくない。
 70年ほど経つともう騙されたことを心に刻み込んだ世代が段々いなくなる。強引な手段をふりまわすことがリーダーシップなんだと間違えて理解している人間がトップに立つとろくなことは起きない。東京都も同じ状況になってしまっている。
 麻生はまた秋葉原に行って「あそぉ〜!」コールに酔ったらしい。テレビで見ているとあの丸川珠代も一緒に街宣車の上に立っている。「暗い顔してると持てないぞ」といったところで隣に立っていたSPまでいつもの無表情を崩して笑っていた。
 あそこであの「あそぉ〜!」コールを浴びているのは嬉しいんだろうけれど、あんなのはっきり云って「ノリ」でしかない。それを知らないわけじゃないだろう。それでもあんな演出をするのは東京であれだけ受けていれば、その勢いに気押される人たちが出ると想像しているということなんだろうか。はっきり云って気色悪い。あのだみ声と押しつけがましい口調とあの幻想では益々否定的感情を抱くに終わった。
 麻生が渋谷の松濤でどれほどの屋敷(延べ床面積約720平方メートルの洋館で、敷地は約2400平方メートル:産経スポーツ2008.10.27 05:02)に住んでいるのかを見に行こうツアーが昨日実施されたのだけれど、警察は無届けの示威行為であるとしてこれを取り締まり、それに抵抗した参加者を逮捕したのだそうだ。これの報道についてはテレビは警察発表そのままで「活動家3人」を逮捕したとしている。そりゃ取材に対応できているはずもないだろうけれど、いわれたままの報道は本当に情けない。しかもどうせ後でどんなことかわかっても謝罪はされない。
 テレビ朝日の画面を見ると私服警官が「取り押さえろ!」と叫んで、男性か女性かわからないが、髪の長い人が制服に押さえ込まれる。赤いシャツを着た大柄な男性が駆けつけて「何があったの?!」と聞くと警察が「違反行為・・」とボソボソといっている。狙われていたというのが正しい判断だろう。警視庁記者クラブから外されたら困る連中は警視庁発表通りでしかないわなぁ・・・。

公安部によると、1人の男は同日午後3時50分ごろ、事前に警察署に届けを出さず、渋谷駅ハチ公口の広場で集会し、デモをした疑いがある。同庁は主催者の1人とみている。また、ほかの2人は、この男の逮捕を阻止しようとして警察官に抵抗し、暴れるなどした疑いがある。集会やデモは、労組などでつくる実行委員会が開く「反戦と抵抗の祭」の企画。同日夕、約40人で渋谷駅から渋谷区の麻生首相宅へ向けて行進していた。(朝日新聞2008年10月27日0時2分)

調べによると、デモの主催者とされる30歳ぐらいの男は同日午後3時50分ごろ、渋谷区宇田川町の路上で、都公安委員会に許可申請をせずにデモ行進をした。40歳ぐらいの男2人はデモの際、警察官の体を引っ張るなどして、公務の執行を妨害した。(時事通信2008/10/26-20:55)

 インターネットなどで麻生太郎首相の私邸見学を呼びかけていたグループが26日午後、東京都渋谷区で麻生首相宅に向けて無届けのデモ行進を行った。中止の警告を無視したことなどから、警視庁公安部は、デモに参加していた男3人を都公安条例違反や公務執行妨害の現行犯で逮捕した。(産経ニュース2008.10.26 20:06)

 一体何人が集まったらデモということになるのだろうか。時として後から後から何人もの人たちが同じルートを歩いて来る場面に遭遇することがあるけれど、あれなんかは警官が集まってくるなんて見たことがないし、これは明らかに事前に情報を把握して取り締まりに動いたことは明白だろう。これが作家の石原慎太郎さんの自宅を見に行くツアーだったら警視庁はどうするだろう。いや、「都知事」の石原慎太郎さんじゃなくて、作家のなんだけれど。

東京都集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例(都公安条例)
公布;1950(昭和25)年7月3日 東京都条例第44号 施行;1950(昭和25)年7月3日 最終改正;1991(平成3)年

  • 第1条(集会等の許可制):道路その他公共の場所で集会若しくは集団行進を行おうとするとき、又は場所のいかんを問わず集団示威運動を行おうとするときは、東京都公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。但し、次の各号に該当する場合はこの限りでない。
    1. 学生、生徒その他の遠足、修学旅行、体育、競技
    2. 通常の冠婚葬祭等慣例による行事
  • 第2条(許可の申請):前条の規定による許可の申請は、主催者である個人又は団体の代表者(以下主催者という。)から、集会、集団行進又は集団示威運動を行う日時の72時間前までに次の事項を記載した許可申請書3通を開催地を管轄する警察署を経由して提出しなければならない。
    1. 主催者の住所、氏名
    2. 前号の主催者が開催の区(特別区の全域を一地域とみなしてその地域)市、町、村以外に居住するときは、その区、市、町、村内の連絡責任者の住所、氏名
    3. 集会、集団行進又は集団示威運動の日時
    4. 集会、集団行進又は集団示威運動の進路、場所及びその略図
    5. 参加予定団体名及びその代表者の住所、氏名
    6. 参加予定人員
    7. 集会、集団行進又は集団示威運動の目的及び名称

 つまりこれは「集団行進および集団示威運動である」と判断してしまえばそれでもうすでに公安条例違反だ、ということになってしまい、そうじゃないと思っていようといまいと逮捕されてしまうという恐ろしい構図になっていそうだ。極端なことをいったら二人であってもその目的をそう判断すれば逮捕できることになる。