ほぼ足りてまだ欲 その先

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テレビ放送のデジタル化

 2011年にテレビのアナログ放送は終わってしまって、地デジと称する地上デジタル放送に移行するといっていて、それまでにその放送システムに対応した受信環境に移行しておかないとテレビが見られなくなってしまうんだそうだ。いつの頃からかうちのテレビの右上隅には「アナログ」という文字が出るようになった。なんだか昔白黒テレビを見ていたら右下に「カラー放送」と書かれているのを見て、なんだか悔しい気分になったことを想い出す。
 で、私は未だにこの娯楽箱でもあり、情報箱でもあるテレビを買い換えなくてはならない(まだこのシステムだったらちゃんと映るし、困ることも別段ないのにこれを捨てて・・それにも確か金はかかるのだけれど)理由がよくわからない。放送を双方向で愉しむことができるとかいう話だし、放送に画面・音声情報の他の情報を載せることもできるんだというけれど、どう考えてもこれから老いるばかりのわが家でそんなことを使い分けることができるようになるとは思えない。今あるテレビやDVDプレイヤーの機能だって殆ど生かせていないのだから(あんなわからない英語なんだか略記号なんだかわからない言葉に充ち満ちていたら、わかるわけがない。私はただNHKの番組をDVDに録画したいだけなんだよ)。
 だから、そんなに複雑なサービスを提供していただいてもどうやら生かすのは難しいだろうと想像できる。
 それよりもよくわからないのはたったそれだけのためにこんな大騒ぎな事になってしまってテレビ受像器のメーカーが儲けるだけだってのはどうも納得ができない。そう思っていたら、いやいや、それだけじゃない。デジタル化して周波数に余裕ができるんだよという話なのだ。
 お〜、やっぱりね。そう来なくちゃ意味がないだろう、と思ったのだけれど、余裕ができたところでどれほどのことができるから「地上デジタル化」をこんなに大騒ぎしてやる必然性があるんだとどこかに必ずや詳細に説明してあるんだろうと探してみる。

  • 総務省のサイト:「デジタルテレビ放送では大幅にチャンネルを減らすことができます。空いた周波数を他の用途への有効利用が可能になります。」 → 肝心の「他の用途」がどんな用途なのかが書かれていない。
  • 社団法人デジタル放送推進協会:「空いたチャンネルは、今後のさらなる情報通信技術活用社会、情報化社会の進展のために利用することが計画されています。」 → だから、その進展はどのように図られるのかが知りたいんですよ。
  • ウィッキペディア:「空きとなるVHF 1 - 12chとUHF 53 - 62chの周波数帯は、地上デジタル音声放送地上デジタルラジオ)、高度道路交通システム(ITS) 、携帯電話、携帯電話向けの放送、業務用通信、公共機関向け通信などに使用する予定である。ただし、地上デジタル音声放送については、放送統合運営会社の設立延期と総務省の周波数割り当て計画の見直しのため、時期は確定していない。」 → どこが空くのかがわかった。どんな分野に使うのかわかったけれど、いつから決まってないようだぞ。それにしてもまた「携帯電話」かよ。「携帯電話」の為には何事も我慢しなくちゃならん世の中になりつつあるみたいだなぁ。
  • 池田信夫の著作物・地上デジタル放送FAQ:『「有効利用」するはずのVHF帯は使いにくく、希望者がないため、半分以上は地域防災無線などに使うことになった。むしろ地上波テレビに一番むいている(アメリカではVHF帯で地デジをやる)。』 → あれ?ちょっと話が変だ。しかも彼はデジタル放送はすぐにブロードバンドに取って代わられてしまうぞといっている。(こちら

 もっと徹底的に探さないとこの疑問が解決できないんだとするとどうやらあまりきちんと説明されていないようだと推察することができそうだ。「地デジ」という言葉にもうみんな驚かなくなって、2011年にどうやら革命的なことがテレビに起きて、「地デジ以前」とか「地デジ以降」とかいう言葉が普通に使われることになるんだろうけれど、その実、なんでそんなことが起きたのかが説明されないという不思議なことになっているみたいだ。
 そこにこんなニュースである。

政府・与党は2日、2011年7月に始まる予定の地上デジタル放送で、受信に必要なチューナーの無償支給対象をNHK受信料の全額免除世帯(約260万世帯)に広げる方針を固めた。当初は生活保護受給世帯(約120万世帯)に限る方針だったが、景気の悪化が深刻になり、低所得者を広く支援する必要があると判断した。
 自民、公明両党の地上デジタル放送推進ワーキングチーム(座長・川崎二郎厚労相)が3日にまとめる予定だ。
 新たに無償チューナーの支給対象となるのは、市町村民税非課税の障害者世帯(120万世帯)と福祉施設などの入所者(20万世帯)。地上デジタル放送に対応したテレビなどを購入済みの世帯を除き、希望者に支給する。
 総務省は当初、2009年度からの2年間で計400億円を投じる予定だった。支給対象の拡大に伴い、必要な経費は600億円程度に膨らむ見通し。財源には携帯電話事業者や放送局が納めている電波利用料をあてる。
 チューナーの無償支給には「ばらまき」との批判もあるが、与党内では「生活保護は受けていないが、所得が少ない高齢者・障害者世帯への対策が必要」との意見が出ていた。(橋田正城) (asahi.com 2008年12月3日9時56分)

 ま、これも「選挙はいつだ・・・」効果といったらいいのかも知れないけれど、この600億円の原資はいったいどこから出てくるというのだろうか。
 漠然となんだかおかしいなぁと思っているのだけれど、一体全体本当にこれだけのひとりひとりの経済的負担を掛けさせて行うメリットというのは本当にどこにあるんだろうか。
 どうせこんな荒唐無稽な話は実現することはないだろうと思っていたけれど、何かしらの調査による提言かなんかを出さなきゃならないと思っていた官僚がじゃ、と書いてみたらそれがそのまま通っちゃってここまで来ちゃった・・・というんじゃないだろうね?