ほぼ足りてまだ欲 その先

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ノーマ・フィールド

 先日たまたま見た(いつでも私の場合テレビは計画的に見た覚えがないが)「いのちの記憶—小林多喜二・二十九年の人生」の中でコメンテーターとして登場したシカゴ大学東アジア学科教授のNorma M. Fieldが新しく書いた岩波新書を手にした。
 この際白状しよう。私は小林多喜二を一冊も読んでいない。大学でマルクス経済学をとった学生だったらこの辺はむさぼり読んでもおかしくないけれど、私の場合は全く未成熟ののほほん「学生ごっこ生」だったし、もう見るからに悲惨そうだったから手にもしなかったのだ。で、そのまま会社員生活を送ってしまった。小林多喜二に謝りたい。
 で、手にしたのは「小林多喜二-21世紀にどう読むか」岩波新書1169 2009.01である。ノーマ・フィールドは1947年生まれだから全くの団塊の世代ではあるが、アメリカン・スクールだったというのだから私とはちょっと異なる人生を送ったのだろう。1965年に渡米。
 14頁にわたるプロローグが普通じゃない。

小林多喜二―21世紀にどう読むか (岩波新書)

小林多喜二―21世紀にどう読むか (岩波新書)

 冬の雪に足を取られながら、それでも折角来たんだからとあの運河まで見に行かなきゃといってつるつるしながら降りた坂道を想い出す。小樽の駅でバスに乗り換えたのは、4-5回はあっただろうか。それでも裕次郎がどうとか、ガラスやオルゴールの店がなんだとか、鮨を食べようかといっていたのは思い出すが、一度として小林多喜二の名前を口にした記憶はない。こんな冬に読むのは正しい選択かも知れないなぁ。