ほぼ足りてまだ欲 その先

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訃報

 ローマで古橋広之進が死んだという。子ども心に古橋はすごい、という印象を持ったことは忘れない。凄かった。
 しかし、彼はクロールだ。私は小学校5年になるまでクロールができなかった。小学校4年生で生まれて初めて10mを泳げるようになったのだけれど、それは平泳ぎだった。やった、俺は平泳ぎならば泳げると嬉しかった。
 しかし、世界記録を出した古橋はクロールだった。何かといえば水泳競技は最後はクロールだ。自由形、フリー・スタイルの試合で平泳ぎする奴なんているわけがない。クロールの方が早い。平泳ぎよりもクロールの選手の方が脚光を浴びる。
 だから私は古川勝選手の方が遥かに好きだった。潜水泳法の古川である。彼は1956年のメルボルン・オリンピックで200m平泳ぎで優勝した。私がそれならもうどこまでも泳げるぞと平泳ぎの自信を深めた年だ。翌年には平泳ぎで市民大会に出場し、小学生の部で決勝まで出た。尤も、決勝では一番端のコースで、見事一番びりだった。
 メルボルン・オリンピックでは自由形には山中毅がいて、豪州のマレー・ローズとの一騎打ちばかりが脚光を浴びた。山中は銀メダルにもかかわらずにである。古川の潜水泳法はすぐに禁止されてしまった。日本人の工夫はすぐに猿知恵とかいわれて、葬り去られてしまう。出る杭を打つのは日本社会だけではない。